オックスフォード通信(99)イギリスにおける外国語教育

フランス語の先生のカンファレンスに参加してきました

オックスフォードにいることのメリットはここが会場となってカンファレンスが開かれることが結構あることです。「わざわざ」というと腰が重くなったりするのですが、宿泊をすることもなく自転車で行ける距離でこのようなチャンスがあるのはとても有り難いです。

昨日のカンファレンスのほぼすべてのみなさんがフランス語の先生だったと思うのですが、①イギリスにおける外国語教育のありかた、②研究プロジェクトのありあた、という点で興味深いものでした。

プレゼンテーションの最初に提示された、”Ignore the panic. There is little point learning languages at school” (Simon Jenkins) が示す通り、英語を母語としているからでしょうか、フランス語やイタリア語など第二言語を学ぶ必要性を感じている人が多くないようで(R先生を除けばカナダと異なりイギリス人がフランス語や多言語を話をしているのを聞いたことがありません)、生徒の学習成果も芳しくないようです(GCSEという共通テストでA-Cのランクの成績を得ているのが1/3に留まっていると報告されていました)。

しかも非常に限られた時間(確か週1回の授業)しかないため、教え方を工夫しなければいうところからプロジェクトがスタートしているようです。3グループ(工夫したテキストG=統制群 [control group]・フォニックスを教えるG・リーディングストラテジーを教えるG)に分けて比較をしているのですが、予測したように、統制群よりも他のグループの方が結果的に成績が伸びたということは確認できなかったそうです。興味深かった点を以下箇条書きにしておきます(備忘録として)

・Slow Learnersにはself-efficacy(自己効力感)を上げることを考えながら
教えたこと
(特にリーディングでは分からない、なかなか効果が見えないことで
ガッカリする生徒が多いのでこの点は重要だと思います)

・ストラテジーを教える際には、
a) まずstrategy awarenessを高めておく
b) ストラテジーの説明
c) ストラテジーの使い方についてのモデリング
d) グループやペアでストラテジーを使ってみる
e) 個人でストラテジーを使う

・cognatesの活用:フォニックスにしてもストラテジーにしても英語とフラ
ンス語で単語が共通であったり語源が同じであったりすることなどから
cognatesを活用しやすい

・ハンドアウトの工夫:生徒が興味のあるトピックを読解教材にしている
(同志社女子大学のReading Courseで使っているNewsFlashとほぼ同じ考
え)。またYoutubeへのリンクも考えていること

また研究プロジェクトのあり方という点では、恐らく10名くらいの先生がチームを組んでクラスルームに根ざしたリサーチをしていることです。日本もイギリスも先生が忙しいのには変わりがありません。個人で研究には規模においても掘り下げ方についても限界があるのでしょう。先日の生理学のプレゼンテーションでも、理論と実験で担当を分けていました。例えば、いつか若ゼミの卒業生の皆さんでチームを組んで共同研究をすることも夢物語ではないと思います。

現在イギリスにいますが、現在私が関わっている共同研究だけで、
A. I先生を中心とする大学1回生の共通英語プロジェクト(計、7名)
B. Y先生を中心とする副専攻ブロジェクト(計、3名)
C. 私が中心の科研プロジェクト(計、3名)
D. 大学院生Kさん中心の学習スタイルプロジェクト(計、3名)

と計4件の共同研究に参加しています。共同研究をすることで視野が広がり(他の研究者の専門性に触れることができる)、自分自身の専門性も深めることができる(自分の担当として)、という利点があります。

最後のワークショップに参加できなかったのは残念だったのですが、いいヒントを沢山いただいたいい機会となりました。

(2018.7.4)

★今回の教訓:授業はどの国でも工夫しようとしている。授業にはどの国でも先生は悩んでいる。You are not alone!

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