オックスフォード通信(73)ノーベル文学賞

オックスフォードには有名人が講演にやってきます。

本日は中国で初めてノーベル文学賞(村上春樹がいつか取ると言われている、そして本年度はノーベール賞選考委員会のゴタゴタで受賞者が来年に先延ばしになった賞です)2012年受賞者の莫言Mo Yan)さんの講演会に行ってきました。以前、New Comers’ Clubで知り合ったドイツで法学の研究をしているFさんに教えて頂きました。

さすがにオックスフォード大には有名人が講演に来るのですが、いつどこに来るのか、なかなか分からないことがあります。分かったときにはすでに時遅し、チケット(といってもほぼ全部無料ですが)が売り切れていることが多くあります(昨日知ったのですが、あのヒラリークリントンが6月末にオックスフォード大で講演をするのですが即日一杯になったそうです。残念!)。

莫言さんの講演会もすぐに一杯になったようで、予約をしている人に行かないのならキャンセルをするようにメールが来ていました。

さて、講演会。90%以上は中国系の学生・院生・先生・在住者という感じでした。莫言さんは1952年の生まれで、軍隊に入ってから執筆活動に入ったそうです。オックスフォード大の先生がインタビューアーになり、中国からの留学生が通訳で、莫言さんはすべて中国語での受け答えという形でした。

内容も面白かったのですが、莫言さんが発言をすると聴衆の中国語を分かる人が90%を越えているのでワーと沸くのですね。その後に英語で通訳が入ってそこで言っている意味がわかるという、時間差のある理解の仕方になりました。不思議にワーと沸いたところでも通訳で英語にするとそれほど面白くないのですね。これは言葉の問題というよりもその背景を知っていないとおもしろさが分からないのでしょう。または、言葉は通訳だけでは通じないと言った方がいいのでしょうか。

例えば、質疑応答で(質問も一人を除いてすべて中国語でした)一人の女性がノーベル賞の賞金は何に使ったのですか?と聞かれてワーと沸きました。こちらは直接的な質問をするのだな、と思ったのですが、あとからFさんがノーベル文学賞をFさんが受賞した際のインタビューで都会に家を買うと(莫言さんは田舎の生活を描写する小説を書いていたということもあり)公言していた背景があったのでそのような質問が出て受けたのだと教えてくれました。

これまで通訳というと英語と日本語の間でしたが、外国語同士の通訳の場合、特にメインの言語(この場合中国語)の聴衆が多い場合、私などは(おそらく日本人は私だけ?)疎外感を感じることを実感しました。きっと日本にいる英語母語話者の皆さんも日本語を通訳されてもそのような感覚なのだろうなと考えていました。

そういえば、BBC放送ではG7サミットの途中にホワイトハウスに立ち寄った日本のA総理とトランプ大統領の記者会見を生放送で中継をしていましたが、A総理も日本の新聞記者もすべて日本語で受け答え、質問をしていてすこしおや?と思いました。恐らくトランプさんの英語は簡単な語彙しか使っていないしゆっくり話をしているので急に英語が聞き取りやすく、誰も通訳が要らなかったと思います。A総理も新聞記者もそのようなSimple Englishで話をした方が、日本語で意味の分かりにくい話をして通訳をしてもらうよりも伝わったのではないかと思いました。ひょっとしたらアメリカの記者やトランプさんには通じなくてもいいと思っていたのかしら、というのは勘ぐりすぎなんでしょうね。

ああ、ヒラリーさんの講演会行きたかった(ちなみに、旦那さんのクリントン元大統領は2001年にトロントにいるときに講演会に来られて、話を聞かせていただきました。入場料が2万円くらいしたのを覚えています)。

(2018.6.8)

PS. ちなみにいろいろなイベントの検索・予約にはEventbriteというアプリがよく使われています。

★今回の教訓:通訳はAIがすることになっても本当の意味はなかなか伝えきれないかもしれない。それだけ母語は大事なんだろう。
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