オックスフォード通信(53)Stand by me

ロイヤルウエディング

あまり興味ないと思っていたのですが、このような機会は滅多にないので(18年前にトロント在住の際には現在のトルドー首相の父の葬儀をTVで見る機会がありました)ウインザー城までは行かないものの朝9時から午後2時までテレビ中継に釘付けになってみました。

天気も良く5月、6月の結婚がJune Brideなどと称される理由が分かるような気がします。TVではBBCとスカイがCMも入れず時間帯を拡大して中継をしています(最初はスカイ独占という話だったのにBBCも同じ内容を格式高く中継していました)。

エルトンジョンやベッカムなどの著名人が参加していたり、着飾った公爵・公爵夫人(Duke、Duchess)の姿は見るものを楽しませてくれるものです。特に女性が地味ではない帽子をかぶっている姿が印象的です。貴族なんですね。チャペルでも関係ないのですね。目の前にそのような派手な帽子をかぶった女性が座られると困るだろうな、なと変な想像をして笑っていました。

兄弟であるハリーとウイリアムが仲良く談笑している姿があったり、女王の登場があったり(お元気ですね)、花嫁のエスコートをチャールズ皇太子がしたり、聖歌隊の透き通るような合唱があったり、日本の結婚式でどこから連れてきたの?というような牧師さんが早口で誓いの言葉を言ってしまうのとは違い、丁寧にひと言ひと言噛みしめながら聖書や誓いの言葉を述べている姿など、平静はイギリスにニュートラルな立場を取っている(と思う)私ですら好意的に結婚式を見ることができました。

その中でも、これまでの結婚式で見たことのないような特徴的なシーンが2つありました。

ひとつは牧師さんの説教です。と言っても会場となったウィンザー城・聖ジョージ礼拝堂の牧師さん(聖公会・アングリカン・チャーチ)ではなくアメリカの教会から参加された牧師さんの説教です。話の内容は、”Power of Love” という一般的なものなのですが、話のスタイルが国教会の他の牧師さんとは大きく異なっていました。アイコンタクトをしながら(誰と?)身振り手振りを交え、原稿は読んでいなかったようですがiPadを持ち込んで、マーチンルーサーキング牧師風に何度も何度も同じ言葉を繰り返しながら説教をしていました。話は少し長かったのですが(15分くらい、いや20分くらいは話をされておられたと思います)自分の言葉が入った説教を聞くことが出来て何かほっとする思いでした。これもメーガンさんというこれまでの伝統的なイギリス王室とは異なるタイプのブライドであることが影響しているのでしょう。

もう一つは音楽です。BBC交響楽団(日本でいえばNHK交響楽団)がグリーンスリーブズなど私もよく知っているメロディーを奏でていました。どちらかというとおとなしい印象の音楽が多かったようにおもいますが、奇をてらわない正統派の選曲だったと思います。BBCではありませんでしたが、合唱は良かったです。黒人合唱団の Stand by Me合唱です。よく知っているあのスタンドバイミーです。ジーンときました。ロイヤルファミリーに入るメーガンさんへの出席者の応援歌という印象を持ちました。ひょっとしたらダイアナさんもサポートしているよ、という演出なのかもしれません。式の中ではダイアナさんの sister (お姉さんか妹)も祝辞を述べていました。

今回の結婚式はスカイも言っていましたが、メーガンさんを考えmulticulturalism(多文化主義)を意識した、また誰もがダイアナさんが生きていたらと思いを馳せられるような憎い演出を見せたように思います。

英国王室はこれだけ柔軟に対応できますよという懐の深さを英国民だけでなく全世界に占めそうとしたのだと思います(ただカミラさんも出席しテレビには映っていましたが、スルーという感じでした。ダイアナさんの影は大きいように思います)。笑顔は柔軟さのサインですね。

(2018.5.19)

★今回の教訓:王室の結婚式を通して国民の気持ちをひとつにすることに成功した結婚式。多文化主義への柔軟な対応も含めて巧みに国民とともに歩む王室を演出した。ただそれらもすべてダイアナさんの功績であり彼女を失った悲しみを国民もそしてその大きさを王室・政府関係者も深く認識しているからできたことだろう。ハリーにしてもウイリアムにしてもウイリアムの娘シャーロットにしてもその面影にダイアナを見ることができる。ある意味では頑固で偏屈な老人エリザベスへの決別なのかもしれない。日本の皇室とは異なり、みんながハリーやエリザベスの写真のお面をかぶって喜んでいた。風通しをよくしながら王室の行く末を模索しているのだろう。
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