Projectを立ち上げよう

おはようございます。

先ほど読んでいただいた聖書の箇所及び本日歌っていただいた賛美歌の共通点は何でしょうか?

本年度お招きいただき何度か卒業生の方の結婚式に参加させていただいたのですが、実は結婚式で判を押したように歌われ・読まれるのが今日の賛美歌・聖書の箇所なのです。

私自身の結婚式は20年前になりますが、冠婚葬祭でもお葬式と異なり結婚式には何度お招きいただいても晴れやかで同時に新しい人生の門出の初々しさと希望を感じることができて、こちらまで嬉しい気持ちになります。

5月に東京で卒業生のにほさんという方が結婚されました。その際、私は、スピーチを依頼されて彼女が卒業時に書いたエッセイの一節を引用しました。いいエッセイなので少しご紹介してみようと思います。

卒 業論文を書き終えた今、安堵の気持ちと少し寂しい気持ちです。去年の4月から卒論を意識し始め、7月にポスターセッションで発表するために少しずつテーマ を固めていき、本腰を入れて書き始めたのが11月下旬から12月22日でした。この数ヶ月間ご飯を食べていても喉に骨がひっかかったような感じで、寝てい る時も、卒論の夢を見るくらい追い詰められていたりして、提出日までの1ヶ月位は特に気が休まる時がなく大変でした。

ですが、今思うと卒 業論文を書いている時が大学生活で一番楽しい時を過ごすことが出来たと思います。このような貴重な時間を過ごすことが出来て、私達は本当に幸せな学生だと 思います。卒論をするためにコンピュータ室に行けば必ずゼミ生がいて机を並べて卒論に没頭したり、卒論に疲れてC458の研究室に行くと、いつも誰かが居 て、みんなで励ましあったり、行き詰まって悩んでいたりする人がいれば、みんなが適確なアドバイスをくれたりと常に一人でやっているのではなくて22人全 員でやっているのだという気持ちを本当に感じることが出来たと思います。

そして卒業論文というものを通して、私は新たな発見をすることが 出来ました。それは、この私が卒論を書くことが出来たということです。私は、英語が得意ではありません。そんな私でも29ページもの論文を書き上げること が出来たというのは、自分でも本当にびっくりしています。私が2回生の時に先輩の卒論発表会で先輩の卒業論文を見た時に、私には絶対に書けないと思ってい た私でしたが、今の私は12月22日17:00までに卒論を書き上げて提出したのです。根拠のない自信が私の中に生まれたような気がしています。

大学でゼミに入り、2年間勉強し卒業論文を書くということは、自分の可能性を試し、チャレンジできるすばらしい物であると思います。

彼女のこのエッセイを読みながらあらためて、今は東京で暮らすにほさんですが、すばらしい大学生活を送ったなあと思います。

それは正直、卒論でなくてもいいのです。

自分で何かに真剣に取り組むものを見つけること、または友人とともに一緒になって真剣に取り組むものを見つけることが重要なのです。

私 は正直言って、授業に全部出ていても、にほさんのように「自分で真剣に取り組んでみようと思うものを見つけられなければ」大学生活の価値はそれほどないと 思っています。考えてみてください。みなさんは、もうすでに「いい大人」です。20年近く生きてきて、そろそろ「自分で何か行動を起こして」何かに取り組 んでみる、ということができなければ、これからの人生で主体的な生き方ができるでしょうか?いくら知識を身につけていても、それを自ら主体的に生かしてゆ くことができなければ宝の持ち腐れと言われてしまうかもしれません。

そんなにたいしたことでなくてもいいのです。自分一人でしなくてもいいのです。友達と一緒にやってみればいいのです。

昨 年、私のゼミの学生のみなさんが、フラダンスをEVEで踊りました。正直びっくりしましたが、同時にとてもうれしくなりました。自分たちで考えて自分たち で行動を起こしたからです。でもまったく何もないところから、EVEの舞台に主演するところまで練習をし、衣装をそろえる、考えてみると数多くのすべきこ とがあったはずです。それを例えば仮に先生がこうしなさいといってしまうと効率よくできてしまうかもしれないけれど、それでは何も残らないと思います。価 値があるのは、EVEで上手に踊ることよりもむしろ自分たちの力でその舞台に立とうとすることだと思うのです。その試行錯誤、膨大な無駄に思える時間、実 はそれこそが、その後のみなさんの糧となり力となるものだと思います。

昨年度ノーベル物理学賞を受賞された京都大学名誉教授の益川先生は、著書の中で「自分自身の大学時代に最も良かったことは、友人とあーでもない、こーでもないと議論したこと、ディスカッションしたことだ」と書いておられます。私もそう思います。

大学時代に重要なのは、お金とか効率とか、資格をとることよりもむしろ、いかに回り道にみえても自分たちで議論をしながら何かを追求してゆくことだと思います。

そのためにも、自分で、友人と何かの「プロジェクト」を立ち上げてみましょう。どんな小さなことでも、どれほどばかばかしくみえることでもいいです。

フ ラダンスを踊った彼女たちは今年に入って、大阪府豊中市の小学校で英語を教えるプロジェクトをはじめています。STEPと名付けられたこのプロジェクトは 私が橋渡しをしたものではありますが、リーダーを中心に教える内容を考え、教材の準備や段取り、そして実際に教室で教えはじめています。果たしてこの後ど うなるのか、私にもわかりません。でも、何かのプロジェクトをかかえて、何かに取り組んでいる限り、卒業論文というプロジェクトを完成させたにほさんのよ うに、必ずやって良かったという気持ち、根拠のない自信というものを得ることができるのだと思います。それは仮に失敗した場合においても、必ずその失敗は 将来につながるのです。

私の敬愛する、アップルコンピュータCEOのスティーブジョブズは2005年のスタンフォード大学の卒業式で次のように述べています。

You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something ― your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

「何がどこにつながるか、人は先んじて知ることはできない。しかしだからこそ、どこかにつながることを信じて、何かに真摯に打ち込むべきだ」と。

もちろん、身を危険にさらすことはしてよいわけではなく、よく考えてから行動はしなければなりません。

大切なのは、自分で、友達と、自分たちで考えて、何かをやってみることなのです。

2009年度春学期の授業も本日で終了します。春に学んだことを振り返りながら、夏休みに「My Project」を立ち上げてみませんか?

すこし人生の見方が変わってくると思います。

秋学期、また元気な姿でお会いしましょう。

(2009年7月29日、今出川キャンパス栄光館にて奨励)

(2009. 7. 29)

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