オックスフォード通信(83)Language Center

オックスフォード大学のランゲージセンターに行ってきました

オックスフォード大学で学ぶ学生が多様なバックグラウンドから成り立っているのに対応するようにセンターにもざっと見ただけでも10ヶ国語以上の言語学習ができるような資料がおいてあります。少し意外なのはフランス語や中国語と同じくらいの量の日本語の資料があることです。イギリスでそれだけ日本語に関心のある人が多いということなんでしょうか。

それにしてもほぼ無人状態。借りたい人はコンピュータでチェックアウトして帰ってね、くらいのスタンスです。自動化というよりは無人化という方が当たっている感じです。そう思うと日本の図書館の親切すぎる対応が懐かしい感じもしました。

(2018.6.18)

★今回の教訓:ランゲージセンターも大学カードがないと入れない。イギリスのセキュリティはどこまでも徹底、詰め詰めである。
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オックスフォード通信(82)湖水地方 Windermera

湖水地方第四弾。

湖水地方を去る前にこの2日宿泊したウインダミアホテルの裏手の Orrest Head に登ってきました。ホテル前のインフォメーションで道を聞くと、ホテルの横の道をまっすぐ、that’s itというお言葉。少々不安も感じながら時々現れる矢印を目印に登ること20分。妻はこのためにキャラバンを自分だけ買って持ってきていましたが私は普通のスニーカ。

でも不安は杞憂で途中、薪製造工場があったたり怪しいBacksmithがあったり、美しい馬がいたりと少しふうふう言いながら、ちょうど若王寺山頂の新島先生の墓参の感じで登頂完了。

写真の通り、ウインダミア湖の全景が一望できました。

イギリスの自然は美しいですね。

(2018.6.17)

★今回の教訓:帰りの鉄道はウインダミアからOxenholme Stationまでは運休でバス代行。おそるべしイギリス鉄道。

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オックスフォード通信(81)湖水地方 Near Sawrey

湖水地方第三弾。

K先生に丁寧にご案内していただいたおかげで随分、湖水地方やそこで生まれた文学に詳しくなりました。英語英文学会50周年記念誌 Wondering Aloud にも書かせていただいたのですが、私は教育学から英語教師としての実践、そこから大学院で応用言語学を学び理論の世界に入ってきたのですが、今回の旅でこれまで後回しというよりも避けてきた感のある英文学の世界がそれほど敷居が高いものでもなく、湖水地方の豊かな自然の中で生まれた文学であることに随分感銘を受けました。

詩を書いたり、文学作品を書いたりしようとは思いませんが、Hill Top のギフトショップで買い求めたPeter Rabbit からじっくりと読んでみようと思います。

この旅の中で何度もBeatrix Potterと言おうとしてHarry Potterと言ってしまっていました。半径2M以内にいたみなさまは憤慨しておられたことと思います。すいませんでした。

(2018.6.16)

★今回の教訓:日本の湖水地方にあたるところはどこだろう。

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オックスフォード通信(80)ワーズワースの世界

湖水地方第二弾。今回は桂冠詩人として(つまり女王に認められた詩人)名高いWilliam Wordworth の足跡を辿りました。

名前くらいしか知らなかったのですが、湖水地方、特に Grasmere湖の周辺にある彼が主だった詩を書いた家のGuided Tourに参加したり隣接する資料館を見る中で詩というよりもどのようなバックグラウンドで彼が詩を書いていたのか、彼にとって詩とはどのような意味があったのか少しわかったような気になりました。

1770年の生まれということですので日本でいうと江戸時代中期から末期まで(1850年没)生きた詩人ですが、イギリスは産業革命がイギリスで同時に進行していても彼が水仙 (The Daffodils)に読んだ湖水地方は今日までその風景を変えていないのでしょう。

自然と一体となった中で湖畔で発見したことを家に立ち戻って詩に表したとのことです。ワーズワースにインスピレーションを与えるものが自然の中にあったのですね。もちろん、Biatrixと同様、誰もが同じ風景を見ていても彼だけに自然がその秘密をそっと解き明かすカギを渡したのでしょう。

Daffodils

I wander’d lonely as a cloud
 That floats on high o’er vales and hills,
 When all at once I saw a crowd,
 A host of golden daffodils,
Beside the lake, beneath the trees
Fluttering and dancing in the breeze.

Continuous as the stars that shine
And twinkle on the milky way,
 They stretch’d in never-ending line

Along the margin of a bay:
 Ten thousand saw I at a glance
Tossing their heads in sprightly dance.

The waves beside them danced, but they
 out-did the sparkling waves in glee: 
A poet could not but be gay
In such a jocund company!
I gazed – and gazed – but little thought
 What wealth the show to me had brought.

For oft, when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,
They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude;
 And then my heart with pleasure fills
 And dances with the daffodils.
(from http://www.bbc.co.uk/poetryseason/poems/daffodils.shtml)

一方で、ワーズワーズが通っていた Hawkshead にあるGrammar School (中学校)も内部を見学することができました。当時は8才から16才までの男子のみが通っており卒業後はケンブリッジやオックスフォードに進学していたようです。驚くのは8才からビールやタバコが許されていたり、ナイフで机に名前を彫ったりする事が容認されていた事です。ワーズワーズ の直筆の自分の名前の見事彫りも残されていました。残しているのもすごいですが、今の中学校なら親が呼び出されるくらいの問題行動だったでしょうね。彼の詩からは想像できない荒々しい少年時代があったという事ですね。

私は英語学習の個人差の研究をしていますが、昨日のBeatrix PotterにしてもWordsworthにしても彼らは天才なのかもしれませんが、淡々と一つのことを観察したり考え続けたからこそ、自然(神)はそっと何かを語りかけたのでしょうね。

(2018.6.15)

★今回の教訓:じっと同じことを追求することは重要だ。
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オックスフォード通信(79)ビアトリクス・ポターの世界

K先生にお誘いいただき湖水地方に来ています。

ピーターラビットで有名なThe Lake District ですが、オックスフォードに来てから知り合いになった東京のD大学のK先生の車に同乗させていただいています。オックスフォード→バーミンガム→マンチェスター→(リバプール)→ランカスターと快適な車の旅(途中2回サービスエリアで休憩)、そして Near Sawrey に到着しました。

K先生はピーターラビットについて日本で多くの本を執筆されたり(何冊も本をいただきました)、展覧会の監修をなさるなどピーターラビットの権威です。にも関わらず物腰も話し方も丁寧で優しく、ピータラビットの本に出て来るNationa Trust Hill Top を中心に案内をしていただきました。

湖水地方については同志社女子大学名誉教授のS先生からイギリスに行ったら必ず行くように厳命されていたのですが、こんなに早くしかも一年で一番イギリスが美しいという季節に訪れることができて幸運に思っています。特に、普通なら通り過ぎてしまうところもK先生の学識溢れる明快な説明で Beatrix Potter の世界に浸ることができました。ありがとうございます。

いくつが発見があるのですが、一番驚いたのが Potter のものを見る力です。生誕150年が2年前ということですから江戸時代末期から明治時代のことです。その時代に生きていた人たちが同じ風景を見ていたのになぜ彼女だけに、ウサギの物語が聞こえてきたのでしょう。不思議です。Hill TopのBeatrix の家の展示にも書いてありましたがそれはPotter が豊かな自然の中に美しい物語を見つける「見る力」を持っていたからだと思います。なぜ彼女だけにできたのか。

恐らく、誰もがそう思っていたのだと思いますが(自然は美しい、そこに生きる動物にも躍動感が溢れていると)、それを彼女の中にある何かとうまくつなげたのだと思います。それは絵が上手かったとか、そもそもそれだけの生活の余裕があったとか、いえるかもしれませんが、月並みな言葉で言えばそれが天分だったといえるのでしょうが、私はなぜか彼女が毎日を生き生きと生きようとしていた気持ちだったのではないかと思います。時代が時代でインターネットも何もない時代ですが、Beatrixが大事にしていたというい庭を見た時に、なぜか彼女の楽天的な気持ちが伝わってくるような気がしました。おそらくK先生という最高の先達がいなければそんなことにも思いも寄らなかったと思うのですが、自然の中に美しいものを見つける力は人生に対する明るい気持ちを持っていなければ(その相乗効果もあると思いますが)生まれなかったのではないかと思います。

夢を見つけ、物語に紡いだこと、それはプリンスエドワード島で見た Montgomery のAnne of Green Gables に出て来る輝く湖や恋人の小径にも通じるものがあるように思いました。

これだけ多くの人が繰り返し訪れるところに普遍的価値を感じずにはいられません。

PS. 今日は日本にいる子供達の誕生日です。Happy Birthday!

(2018.6.14)

★今回の教訓:一見平凡なものに価値を見出すことができる人がいるのはなぜだろう。ポターだけではないはずだ。
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オックスフォード通信(78)その場での質問

セミナーに出ていて悔しいのは質問できなかった時です。

応用言語学セミナーのような専門セミナーは質問しやすいのですが、昨日や月曜日のような教育評価や教育心理学の質問は少し構えてしまします。

参加者の人数は20名程度なのでそれほどプレッシャーはかからないのですが、まずテクニカルタームが分かりにくい、その後で議論されている中心も分かりにくく質問の輪に入れないことがあります。そのような時に限ってセミナーが終わってからいい質問が思いつたりします。

日本の会議でもそうでしたが、その場で瞬間的に質問を考えるのにはコツが要りますります。

それはまず、

1)シンプルに考える。日本の状況に当てはめて考えてみること。プレゼンターは当然巧妙に(?)入り組んだ話をしますのでそのまま聞くと納得してしまいます。ですから、なるべく単純に日本だったらどうだろう?これはイギリスだから成り立つのではないかと。

2)なるべく前の方、プレゼンターに近いところにすわること。これは一番効果的ですね。前の方にいると後ろにいる人が気にならず、逆に後ろのほうに座ると周りが気になりなかなか質問しにくくなります。

した後悔よりもしなかった後悔の方が大きい
と言いますが、質問についても同様です。

オックスフォードの印象はトロント大のような北米の大学よりも温厚で穏やかな質問が多く、日本のように質問があまりでない印象があります。これは島国という共通点から来るものなのでしょうか?

質問する態度も重要な研究テーマですので今後も質問をしながら考え続けてみたいと思います。

(2018.6.13)

★今回の教訓:質問するとそこからさらに新しい考えが生まれるものだ。
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オックスフォード通信(77)English as a global lingua franca

本日の応用言語学セミナーのトピックはズバリ国際共通語としての英語でした。

講師はエジンバラ大学のG先生でした。セミナーに出ていて気づくのはわかりやすく聞き取りやすい英語で話されることとそうでない方がいることです。G先生は最初に経歴をお話になったのですが、なるほどとうなづくものでした。というのも、スコットランドの大学を卒業して日本でALTとして中学や高校で英語を教えておられたからです。

英語や他言語を教えたことがあるかどうかでその人の話し方がはっきりと異なるように思います。

English as a global lingua franca (EGLF) と English as a lingua franca の違いはないと多くの人は言いますが、globalの場合にはより聞き手に配慮した話し方をするのかもしれません。自分の研究を話して終わりではなくて、聴衆全てが聞き取りやすく話すことを意識することができるかどうか、これは意識の問題だけで片付く問題ではなく、そのような習慣をつけてゆく必要があるように思います。

EGLFは今回のオックスフォードでの研究の一つの核になるものですので引き続き考えてみたいと思います。また講演終了後お話をしていてエジンバラはいいところだとおっしゃっておられたので機会があればぜひ行ってみたいとも思いました。

PS. 写真はサマータウンに出ていたホットドックのお店。Bratwurst というドイツ風ソーセージ (wurstはドイツ語でソーセージ)が美味しかったです。

(2018.6.12)

★今回の教訓:聞き手を意識した話し方は日本語でも重要だ。
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オックスフォード通信(76)インターネットゼミ第9回目

本日も10名でのゼミとなりました。

先週で春の論文を読み終わったので本日はK先生に “How to write a thesis comfortably and effectively” というトピックについて講義をしていただきその内容について議論をするという形式を取りました。

今回は新たな実験としてK先生の講義中に質問やコメントをLINEのゼミグループに投稿して見ました。意気込んでいたのか、途中までゼミラインではなくてゼミメンバーのAさんの個人スレッドに投稿するというミスはあったもののなかなか面白かったです。

というのも、確かに、オックスフォードでもセミナーの途中で質問してね、とプレゼンターは言いますが、イギリス人でもなかなかそれはしにくいもの。まして日本の教室でネイティブの先生が話をしている最中に、”Excuse me?” というのもなかなか勇気のいるものです。

実際には私が投稿をしてそれをK先生が話しながら器用に見ているという形でしたが授業の一つのオプションとしてうまく機能したように思います。

K先生のアドバイス、このブログを読んでいる皆さんにも役にたつと思いますのでその一部を掲載しておきます。

(1) Make a schedule in a reverse way thinking backward, that is, how many days you have. As of today, you have 192 days left.
(2) Do not procrastinate what you have to do today. Write a little bit every day, say 100 words a day.
(3) Have a break. For example, when you work for 55 minutes, have a 5 minutes break. Also, think of having a day off. Geoguessor (https://geoguessr.com/) is good for a break.
(4) Think about when you can work better, in the morning or in the evening.
(5) Be strict to yourself.

(2018.6.11)

★今回の教訓:LINEを効果的に使うことも大学ならできるかもしれない。

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オックスフォード通信(75)アインシュタイン

日曜日にオックスフォードの中心部にある科学博物館(Museum of the History of Science)に行ってきました。

オックスフォードではアシュモリアン博物館をはじめ無料で入場できるところが多くあります。不思議なもので無料であればあまり興味がなくても足がむくものです。広場でGreen Dayの催しを見に行くのが目的だったのですが。

科学博物館なので実験器具とか方位磁石、コンパス、分度器、計算機などの展示で、1400年代くらいからだと思いますので、かなり昔の器具がおいてありそれなりに感銘を受けたのですが、まあ、歩いてふーんという感じで回るだけでした。

ところが地下に降りてある一角にたどり着いた時にうーん、とうなってしまいました。アインシュタインが書いた黒板がおいてあったのです。しかもその時の書いた字がそのままに(再現でしょうが)。

宇宙の起源についての発見につながったという数式らしいですが、アインシュタインがオックスフォードに来て講演をしたということを想像してワクワクしました。何かの発見は当たり前ですがどこかでなされるわけです。彼がオックスフォードで発見したわけではないですが、何かインスピレーションを与えられるような黒板の字でした。

私のオックスフォードでの研究も20%以上の時間が過ぎました。研究のブレークスルーがあるといいなあ、と思いながらアインシュタインの黒板を見ていました。

(2018.6.10)

★今回の教訓:本物はインスピレーションを与えるものだ。
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オックスフォード通信(74)ラグビーとサッカー

今日の土曜日はラグビーのテストマッチ(国の代表チーム同士の真剣勝負の試合)でイングランドと南アフリカの試合を近くのバーで観戦してきました。

本当はスカイTV(通信61参照)をアパートで見ているはずだったのですが、5/29に仰々しくスカイのテクニシャンという人が来て(来られる3日前から5/29の確認のShort Messageが来て、当日もあと40分くらいで到着すると電話があり、大雨の中、来ておっしゃったのが、あなたのフラットはオーナーの意向でスカイTVの工事が出来ないと述べて)2分で帰って行かれたという顚末になってしまいました。いつか恨みを込めてブログに書こうと思っていたのですが、今日まで忘れていました。まあ日本でいえば余計なケーブルTV(WOWOWに近いですね)の視聴料を払わなくていいので良かったと自分に言い聞かせています。しかしこのあたりがイギリスは信じられませんね。ダメなら最初の時点、又は三日前に言えばいいのに。

さて、実は日本対スイスのサッカーの親善試合も前日に観ました。これは誰かが生放送をYoutubeで流しているもので全編フランス語での中継でしたが、日本のやる気のなさ、というよりは勝つ気のないのはよく伝わって来ました。

それに比べて(比べてはいけないでしょうが)、本日のラグビーは盛り上がったし観ている方も気分が高揚しました。パッと気づくと恐らく30人くらいはいたでしょうね。パブも大盛り上がりでした。

実は、以前にInvictusという南アフリカ対ニュージーランドのW杯ラグビー決勝の映画]を観ていて、代表チーム(Springboks)が好きなっていたのですが、本日の試合は(負けはしましたが)圧倒的にイングランドの方が良い試合をしていました(でも最初の南アフリカの国歌斉唱は感動的でした。国歌が誇れる国はいいですね。イングラインドの選手は一人感激して泣いていました。もちろんイギリスの国家の時ですが。イギリスの国歌はメロティーはいいのですが、女王陛下万歳はやりすぎですね。パロティーとしてはいいですが)。

現在のイングランド監督は前ジャパンのエディージョーンズです。

パブで(スポーツバーではありませんが)皆んなで観るのはいいものですね。帰りにはイングランドを応援してくれてありがとうという意味でしょうね(なにしろTVの一番前で観ていましたので)見知らぬお客さんから握手を求められました。

日本のサッカー はなぜハリルさんを解任したのでしょうね。ハリルさんがいるだけで試合に本気で勝つ気が相手にもジャパンの選手にも伝わったのに。

(2018.6.9)

★今回の教訓:パブでスポーツ観戦はいい。
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オックスフォード通信(73)ノーベル文学賞

オックスフォードには有名人が講演にやってきます。

本日は中国で初めてノーベル文学賞(村上春樹がいつか取ると言われている、そして本年度はノーベール賞選考委員会のゴタゴタで受賞者が来年に先延ばしになった賞です)2012年受賞者の莫言Mo Yan)さんの講演会に行ってきました。以前、New Comers’ Clubで知り合ったドイツで法学の研究をしているFさんに教えて頂きました。

さすがにオックスフォード大には有名人が講演に来るのですが、いつどこに来るのか、なかなか分からないことがあります。分かったときにはすでに時遅し、チケット(といってもほぼ全部無料ですが)が売り切れていることが多くあります(昨日知ったのですが、あのヒラリークリントンが6月末にオックスフォード大で講演をするのですが即日一杯になったそうです。残念!)。

莫言さんの講演会もすぐに一杯になったようで、予約をしている人に行かないのならキャンセルをするようにメールが来ていました。

さて、講演会。90%以上は中国系の学生・院生・先生・在住者という感じでした。莫言さんは1952年の生まれで、軍隊に入ってから執筆活動に入ったそうです。オックスフォード大の先生がインタビューアーになり、中国からの留学生が通訳で、莫言さんはすべて中国語での受け答えという形でした。

内容も面白かったのですが、莫言さんが発言をすると聴衆の中国語を分かる人が90%を越えているのでワーと沸くのですね。その後に英語で通訳が入ってそこで言っている意味がわかるという、時間差のある理解の仕方になりました。不思議にワーと沸いたところでも通訳で英語にするとそれほど面白くないのですね。これは言葉の問題というよりもその背景を知っていないとおもしろさが分からないのでしょう。または、言葉は通訳だけでは通じないと言った方がいいのでしょうか。

例えば、質疑応答で(質問も一人を除いてすべて中国語でした)一人の女性がノーベル賞の賞金は何に使ったのですか?と聞かれてワーと沸きました。こちらは直接的な質問をするのだな、と思ったのですが、あとからFさんがノーベル文学賞をFさんが受賞した際のインタビューで都会に家を買うと(莫言さんは田舎の生活を描写する小説を書いていたということもあり)公言していた背景があったのでそのような質問が出て受けたのだと教えてくれました。

これまで通訳というと英語と日本語の間でしたが、外国語同士の通訳の場合、特にメインの言語(この場合中国語)の聴衆が多い場合、私などは(おそらく日本人は私だけ?)疎外感を感じることを実感しました。きっと日本にいる英語母語話者の皆さんも日本語を通訳されてもそのような感覚なのだろうなと考えていました。

そういえば、BBC放送ではG7サミットの途中にホワイトハウスに立ち寄った日本のA総理とトランプ大統領の記者会見を生放送で中継をしていましたが、A総理も日本の新聞記者もすべて日本語で受け答え、質問をしていてすこしおや?と思いました。恐らくトランプさんの英語は簡単な語彙しか使っていないしゆっくり話をしているので急に英語が聞き取りやすく、誰も通訳が要らなかったと思います。A総理も新聞記者もそのようなSimple Englishで話をした方が、日本語で意味の分かりにくい話をして通訳をしてもらうよりも伝わったのではないかと思いました。ひょっとしたらアメリカの記者やトランプさんには通じなくてもいいと思っていたのかしら、というのは勘ぐりすぎなんでしょうね。

ああ、ヒラリーさんの講演会行きたかった(ちなみに、旦那さんのクリントン元大統領は2001年にトロントにいるときに講演会に来られて、話を聞かせていただきました。入場料が2万円くらいしたのを覚えています)。

(2018.6.8)

PS. ちなみにいろいろなイベントの検索・予約にはEventbriteというアプリがよく使われています。

★今回の教訓:通訳はAIがすることになっても本当の意味はなかなか伝えきれないかもしれない。それだけ母語は大事なんだろう。
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オックスフォード通信(72)自転車登場!

自転車を安い値段で譲っていただきました。

オックスフォードに来て最初に考えたのが移動手段です。K先生など多くの方からは自家用車の購入を進められました。実際に(別の)K先生は半年間の滞在ですが、湖水地方など方々へ行かれる計画なので最初から車を購入(買った形にして実際にはリースで半年後に返すとおっしゃっておられます)しておられます。それもありかなと思っています。

そう言えば、海外で中古車を買って1年後や2年後に同じ値段又は時にはそれ以上の値段で売るという事があると聞く事があります。前々から不思議に思っていたのですが、オックスフォードの地元に住むイギリス人のHさんとお話した際にいいお話をお聞きした事があります。それは新車を買ってしばらくするとグンと車の値段が下がるそうです(ここまでは日本も同じ)。ところがイギリスでは(カナダでも同じだと思います)一旦下がった中古車の値段はそれ以降は年々下がる事がなく一定のままという事らしいです。なるほど。なぜ一定なのかそこは分かりませんでしが(Hさんも分からないと言っていました)中古車の謎は一応解けたように思います。

さて、自家用車を購入するか?と一応考えたのですが、結論は不要ということに達しました。その理由として①サマータウンという大学まで徒歩でも20分の所に住んでいるのでしかもCity Centerは車は原則立ち入りが難しいので、大学や街の中心部に車で行くことはない、②ロンドンもしかりで車の立ち入りはかなり厳しくナンバープレートの番号などで規制されている、③交通規制が厳しく速度違反はもとよりバスレーンを走るだけで罰金がかなり課せられる、これらはほとんどがカメラによってなされる、④1年後に売るのが面倒くさい、⑤必要があればレンタカーを借りれば良い(実際にはレンタカーはミッション車がほとんどで苦労しました→通信42を参照)。

では徒歩とバスでということになるのですが、オックスフォードは京都と良く似ていてあまりアップダウンがありません(正確には多少あります、当たり前か)。こうなると自転車を(通信24、21を参照)買うしかないと思っていました。ただ、日本人大学院生のAさんに言わせると新しい自転車を買うと取られるとのこと。中古を買えとのことでした。確かのフラットの近くのサマータウンサイクルで物色してみると最低で£300(=4万5千円)、普通に並べてあるものは£800(=12万円)とか中には£3000(=45万円)なんてものもあります。これはだめだ。

果報は寝て待てといいますので、しばらく「売ります!」という声がかかるのを待っていました。

すると来ました。妻のネットワーク(New Comers Club)のメーリングリストで夫婦で2台売りたいとの。ただ夫は身長が190cmで写真を見るととてもどんなんことをしても地面に足が着きそうにないので奥さんが持っていた自転車を売っていただくことになりました。値段は£50(=8000円)でした。有り難いです(ちなみに売ってくださったのはイギリス人のOさんという女性なのですが、自転車の受け渡しにサマータウン周辺までわざわざ持って来て頂きました。しかも妊娠6-8ヶ月目の身重の状態で。こちらは赤ちゃんでも昨日生まれたの?というような本当にまだ小さな赤ちゃんをハイキングやパブに連れ出しているのでびっくりします。これはカナダも同じですが出産したら翌日には退院をしなくてはならないそうです。そう言えば、18年前トロントで全身麻酔で胃カメラを飲んだときも終わったらすぐに帰らさせられました。胃カメラに全身麻酔するのも凄いですが。当時フラフラしながら帰った記憶が鮮明に残っています)。

次の果報もまた妻のネットワーク経由できました。こちらはYさんというイギリス人と結婚してオックスフォードに在住30年というご婦人から古くなった自転車を£30(=4500円)で譲って頂きました(Yさんは奥ゆかしい方でそのお金は寄付されるとおっしゃっておられました)。

ということで、果報が二回続き、5月下旬に自転車が2台そろいました。自転車に乗ると日本でもそうですが世界が変わりますね。それはまたの機会に。

(2018.6.7)

★今回の教訓:本当に果報は寝て待て。さて1年後に自転車を自動車と同じように買った値段で売ったら?とよこしまな考えがふと浮かんだがそれはないな。
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オックスフォード通信(71)Oxford University が世界一の秘密(7)虫がいない

オックスフォード大が世界一の秘密をこれまで何回か(6回)書いてきましたが、もう一つ秘密を見つけました。それは虫と天候です。

おそらくこれを書くと日本で読んでおられる皆さんは激怒するだろうと思ってこれまで控えてきたのですが、読者も随分減ってきたと思いますので、そろそろ書いても大丈夫でしょう。イギリスはよく天気が悪いと言いますが、少なくとも現在のところ最高の天気が続いています。

確かに到着した3月下旬から4月にかけては毎日雨が降っていましたが、平均的には爽やかな天気の日が多いように思います。しかも湿度が低い。今日は6月7日、恐らく日本では蒸し蒸しとした天気で気温も25℃を超える毎日だと思うのですが、本日のオックスフォードは20℃前後、汗を知らないくらい湿度は低いです。

こんなに天気が爽やかだと頭も冴えます。夜もぐっすり寝ることができます。しかも日が長い(もちろんその反動が冬に来ることは知っていますが)。本日などは夜の10時でもまだ薄明るいくらいでした。

もう一つ良いことが。虫がいないんです。まだ一度も蚊というものを見た事がありません。ハエは一度だけ見ました。亀岡市内の私が住んでいる農村部で現在おそらく大合唱のカエルの声も聞きません。この調子では夏の蝉の声もないのではと思っています。

その当然の帰結として、各家庭にはエアコンも網戸もありません

このような爽やかな気候と汗だくになりながらという状態では、アイディアの生まれかたも違うと思います。極端かもしれませんが初夏の軽井沢か(初夏に行ったことはありませんが)尾瀬(行った事自体ありません)にいるような気分です。

恐らく、半年後には全く正反対のことを書いているかもしれませんが、現在の気候は最高です。そりゃ良い研究ができるわ、と思います。

何かイギリスバンザイみたいになってきましたね。大丈夫ですよ。

(2018.6.6)

★今回の教訓:そう言えば「存在が意識を決定する」と喝破したあのマルクスのお墓もイギリスにある。
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オックスフォード通信(70)BBC Radio 3

ストラテジーとはなにか?

これがオックスフォードでのこの1年間の研究の根底にある問いです。ストラテジーは方略と訳されますが、方略を持った学習とそうでない学習では何か違いがあるのか、という問いに言いかえることができるかもしれません。

もちろんこの問いにはYesと答えたいのですがそうではない、Strategicな学習を否定するグループもいます。それは言い換えると普通に生きているのと何か目標を持って考えながら生きていくのと何か違いがあるのか、と問いにもなるかもしれません。

人生と同じように学習にはつまづきやもうやめてしまおうと思うこともあります。その時に助けてくれるものが方略だと思います。生きるのも学習するのも本人であって他人が変わることはできません。でも他人との交わりの中で「気づく」ことはあります。また方向を修正したり、目的を再確認することもできます。どう考えても本人の無自覚な生き方や学習と戦略を持った生き方、学習では大きな相違があるように思います。

ただ、戦略を日本語で表記すると何かズルイという印象が滲み出てしまいますね。何か、いい邦訳がないものかと考えています。指針、作戦、計画、学習セット、プレイブック・・・。またいいものがあればご示唆ください。

さて、仕事をしながら日本でもオックスフォードでも自室の場合には音楽を聞くことが多いのですが、その際に集中できるのがLight Popかクラシック音楽です。ラジオ(インターネットラジオも含めて)自分で探して聞いていたのですが、昨日Pさんといろいろと話をしている中でBBC Radio 3Classic FMの違いになりました。両方とも知っていたのですが、流石に地元の人間ですね。イギリス人からするとBBCの方がよりseriousとのこと。そう思って聞いてみるとうーん、違いがわかる。友人と学習方法について相談するというストラテジー(メタ認知方略)がありますが、まさに音楽について相談していい道が見つかったように思います。この方法がいいのがPさんの優しい人柄がBBCを聞こうとする意欲につながるところです。

英語学習方略でも同じだと思います。先生や友人と英語の学習方法について話すといい道が見つかるように思います。こんなことを考えるとやっぱり方略はあるし、指針のある学習者は自分のプレイブックを持っているよな、と感じます。

自分の英語学習のプレイブック、生き方のプレイブックを持つことなんでしょうね。そこにいくつものフォーメーションが書いてあると役に立つのでしょう。

今、若ゼミメンバー(17期、18期)の協力も得てリスニングストラテジーの質問紙を作製中です。暫定版ができたら読者の皆さんにも試していただきたいと思っています。明後日、R先生と相談して何とか形にする予定です。

(2018.6.5)

★今回の教訓:英語学習のプレイブック、なかなか良いタイトルかもしれない。この線で考えてみよう!
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オックスフォード通信(69)インターネットゼミ第8回目

教育実習がはじまり17名のゼミは10名でのセッションとなりました。

春学期1回目のゼミからプレゼンテーションを始めてヘッドスタートをしてきたゼミですが、本日のゼミで論文を9本読み終わりました(1本は春合宿で)。ゼミでも言っておりましたが少し灌漑深いものがあります。最終回は随分前の論文ですが私の論文を一緒に読んでいただきました。初めて国際学会誌に採択された思い出深い論文です。いいですね。自分の論文を読むとまだ30代でしたが夜遅くまで書いていたり、山城郵便局に論文を郵送しに行ったことなどを懐かしく思い出しした。最近は日本語で論文を書くことが多いのですが、英語で書くと世界の色々なところで読んだり引用してもらうことになるので改めて英語で書く重要性を感じます。今回、オックスフォードに招聘して頂いたのもこの論文が少なからず貢献してくれていると思います。

「人間はどんなことにでも慣れられる存在だ」(ドストエフスキー『死の家の記録』私はこのリンクの遠山啓先生の本でこの箇所を知りました、名著ですね)と言われますが、インターネット利用のゼミに日本のゼミメンバーもオックスフォードの私もいい意味で慣れてきたように思います。意志あるところ道ありと言いますが、当たり前のようにインターネットを利用したゼミが普通にできているところにここまでの8回のゼミの積み上げと同時に、この普通を支えてくれている縁の下の力持ちのゼミメンバーやゼミを温かくサポートしてくださっているK先生に感謝の気持ちで一杯です。就活や教育実習、SPなど多くのことを抱えながら黙々と頑張るゼミメンバーは素晴らしいと思います。

コンピュータに向かって話すことに最初は違和感を感じていましたが、今では普通に思います。テレビで中継をみると特に外国からの中継で私と同様の形でコンピュータやスマートフォンで話をしている姿を目にすると共感すら覚えるようになりました。

ただ、ここで満足しないようにしながら、双方向・快適・コミュニケーションを念頭に更なる発展を目指してゆきたいと思います。

オックスフォードは授業の最終週を迎えますが、日本の大学はこれからが山場ですね。

(2018.6.4)

★今回の教訓:Textingが次のポイントかもしれない。禁断かもしれないがゼミをしながらtextingをするというのはどうだろう。
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オックスフォード通信(68)London Bridge terror attack

日本ではあまり報道されていないと思いますが本日はロンドンブリッジテロから1年の追悼行事が行われていました。1週間前にはマンチェスターのコンサートでのテロの追悼行事でした。

BBCクラッシックは日曜日ですが重々しい曲ばかりかけていました。いつまでこのようなテロが繰り広げられるのでしょう。亡くなった人達は追悼行事を行っても返ってくることはありません。でも追悼行事をTVで見ていて生きることの意味を再確認できることがあります。

日本とイギリスでの追悼の仕方は少し異なるように思います。本日の追悼は1分間の黙祷といった日本と同様の形式でしたがマンチェスターは2時間のコンサート。しかも午後9時でお開きですよ、というカラッととしたもののように思いました。多くの若い世代が驚くほど参加していたのも印象的です。

どちらがいいのでしょう。でも不当な事件・事象で命を亡くしてしまった人達を心から悼むことはなくしてはいけないと思います。

日本でもテロではありませんが、JR福知山線脱線事故でなくなった特に大学生を忘れることはできません。

ある新聞記事に命を大切にするとは、毎日を精一杯生きることだ、というものがありました。オックスフォードという素晴らしいアカデミックな世界にて、時間とチャンスを大切にしたいと、改めて思いました。

同時に、日本で暮らすみなさんにも同じメッセージを送りたいと思います。日本は文化的にも歴史的にも素晴らしい環境にあります。でも一人一人が少し考え方を変えるだけで日本はもっといい社会になると思います。

青いよ、といわれそうなことを今日の日曜日論文の改定作業をしながら考えていました。

Never miss an opportunity to be fabulous!

(2018.6.3)

★今回の教訓:ひとりひとりの生きがいを広げることはそれほど難しいことではないかもしれない。Johen Lennonのように限界を設けないで想像すれば。
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オックスフォード通信(67)プライドパレード

本日、6/2 はプライドパレード日です

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、北米やイギリスでは、この時期によく行われています。

プライドパレードのシンボルはオレンジの旗です。今日は控えめですがこの旗を見かけることができます。日本でも最近ではLGBT (Lesbian, gay, bisexual and transgender) として知られることが多くなってきました。昨年の事です。本学の学生の方が研究室を訪問して頂き、ゼミメンバーではないのですが、LGBT について話を聞いてくださいと申し出がありました。彼女自身Lesbianで日本ではまだ市民権が得られていないのではないか、女子大学こそこのようなLGBTについて議論を深めるべきではないか、できれば一度講演会の様な形で一般学生の認識を深めることができないか、というご相談でした。100%その通りだと思いました。

女子大学の存在意義が問われることがありますが、一言でいうならば、マイノリティーとして不当な扱いを受けている人達に光を当てるところにこそその意味があると思っています。

本日のパレード(自体は見れなかったのですが)散会した後の人々を見ながら、みんな明るいな、と思いました。高温多湿の日本とは異なり、カラッと明るくプライドパレードに参加するのはいいなあと思いました。単なる感想ですが、オックスフォードでは女性同士の参加の方が男性同士の参加より多い様に思いました(トロントは逆でした)。

国や社会としてもこのプライドパレードを当たり前のように受けて入れているところにもイギリスとしての社会の成熟度を見た気がします。

社会からマイノリティーという存在自体がなくなるように努力したいものです。マジョリティーと思っている人達も早晩この社会からいなくなるのですから。それまでに良い社会を作りたいものです。

(2018.6.2)

★今回の教訓:マイノリティーと言われる人たちをサポートすることは全ての人をサポートすることになるのでは。
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オックスフォード通信(66)就活面接解禁日

日本は本日が正式な就職活動の解禁日

若ゼミメンバーは教職第一希望組、オーストラリア日本人教師第一希望組と一般企業就職希望組の3パターンに分かれています。今年は例年以上に内定の出だしはいいようですが、(毎年思うことはありますが)就職は結婚、進学と合わせて人生を左右する大きな節目ではありますが自分だけでままならない大きなヤマであると思います。

多くの大学生は早く決まればいいと思っているようですがそれほど単純でもないように思います。よく内定をいくつ持っているとか自慢をする大学生もいるようですが、いくつ内定を持っていても、どれだけ早く決まっても「働く会社は1つで、働き始める時期も(航空系のフライイングを除けば)来春」です。

誤解のよくあるパターンは就活がスムーズに進んだため自分の能力を過信するケースです。このタイプの大学生は来春仕事を始めて少しうまくいかないと、私がしたいのはこのような仕事ではない、この仕事は向いていないとすぐに転職を考えます。転職でも次が決まってから辞めるのならまだいいですが、辞めてから考える場合大抵元の会社よりもいいところは見つかりません。よく考えると、わかるのですが、最初から仕事がスムーズにいくことなんてどの仕事でも無いと思います。

私は20代は公立中学校の英語の教員をしていましたが、ようやく自分の仕事にやりがいを感じるようになったのは最初の卒業生を送り出した26歳頃です。それまでは何をやっても上手くいかずまさに暗中模索の状態でした。これは私だけかというと誰もがそうであったと思います。つくづく仕事との関係は一筋縄ではいかないものだと思います。

昨日参加したセミナーはたまたま職業とスキルの関係について論じるものでした。イギリスでも 高いスキルや高学歴があっても low wage work(低賃金) しか回ってこないことが問題になっているようです。じゃあ、どのようにしてスキルアップを図らせるかという点ですが、残念ながら学校を卒業した後には政府の予算や計画が乏しいため難しいのが現状のようです。

今、大学生で就活がうまく行っていないと思う人にはいくつかの作戦(Playbook)があります。

1. キャリアサポートセンター(キャリア支援部)に相談に行く
相談しても特段就職先を紹介してくれるわけでもないし、と思うかもしれませんが、誰かに相談できることだけで問題の半分は解決していると思います。自分に問題があるとしたら何なのか少し頭を冷やして考える事ができます。

2. 自分を過大評価しない
自分に自信を持つことは重要ですが過大評価はいけません。人と話すことによってその傾向を知る事ができます。

3. 自分を過少評価しない
どうせ私は・・・だからと自分を卑下して開ける道はありません。現在大学生であればここまで積み重ねたきたことは少なくありません。主観的に自分を見てはいけません。

4. 自己紹介を工夫する
就活で重要なのは結局、自己紹介と志望動機、この2つです。ここを少しストーリー性のあるものを加えることでぐんと話に説得力が増します。その際、自分の経験を過小評価しないようにしながら上手く自分をプレぜテーションすることです。

5. エントリーシートの工夫
みなさん工夫をしておられると思いますが、自己紹介が単調にならないように2つの少し違うコンセプトを含めてみるといいと思います。例えば、意志の強さとコミュニケーション能力、柔軟性とビジョン、辛い経験と友人との出会い、など一見関係のないようなコンセプトで自分をまとめてみることで相乗効果を生む事ができるだけでなく、読者である就職担当者の予想を裏切る効果があります。もちろん、面接前にリハーサル、一度言おうとしていることを時間を計って練習してみること。このひと手間をかけるかどうかの差は大きいです。

6. 少し厚かましく先生に頼む
教員は忙しくしていますが、エントリーシートを見て欲しいと頼まれて断る先生はそれほどいません(皆無ではないです)。ただ先生に頼む勇気があるかどうかの問題です。聖書にあるように「求めなければ与えられません」推薦状も然りです。大学の教員自身、そこに至るまで、大学院の推薦状、就職する際の推薦状と沢山の恩師にお世話になっています。どの先生も今後は Pay it forward の順番だと思っていますよ。

7. 協働性
一人で就活に悩まないで誰かと共同戦線を組むことです。その友達が先に就職が決まってしまうかもしれませんが、そうなればなったで返って好都合です。相談にしっかりとのってもらいましょう。誰かと一緒に作業に取り組むと効率も上がるし意欲も上がります。仮に同じ業界を目指していてもライバルにはなりません。7年前にA航空会社を目指している人がたまたま二人ゼミ内にいましたが二人は協力をしてエントリーシートから面接練習まで一緒にやっていました。偶然にも就活の集団面接まで同じグループだったそうですが(さすがに言うことが重なってしまい困ったと言っていました)、見事二人とも合格しました。おそらく別々に準備していたら二人とも合格しなかったかもしれません。

8. あなたを待っている仕事がある
これは研究にも当てはまる事ですが、就職できるかどうかと if (もし)で考えるのは得策ではありません。それよりももう既に自分の仕事は決まっていてその仕事に出会うために就活をしていると考える方がより合理的です(岸見一郎先生が紹介されているアドラー心理学の考え方ですね)。事実、みなさんの仕事は必然的に決まっていると思います。人によって長さは異なるかもしれませんが、就職活動を通してその未来の仕事に出会うのだと思います。就活を断念しない限りその未来の仕事に出会う事ができるのです。

9. 人に信頼されるよう心がける
私の敬愛する大阪の中学校のN校長先生が言っておられたことですが、人が話したくなるのは信頼される人だ、ということです。確かにそうです。みんなが尊敬するその人と話をして見たくなるのは自然なことです。そのためにも人に信頼されるように人がしたいと思わないような作業や仕事を率先してすることです。その縁の下の力持ちの積み重ねが信頼をあなたに与えることでしょう。

10. 自分のプレイブック(Playbook、作戦)を持つこと
人生の三大選択は自分の思いのままにはなりませんが、自然の成り行きでも良くありません。プレイブック(作戦)を持った就活とない就活では結果に差が出ます。コントロールできないけれど、コントロールできないことをしようとする所が重要なのではないでしょうか?作戦があれば次への作戦の修正ができます。

私自身の就活は1982-3年ですのでもう35年も前のことになります。旅行業界と教員の二本立てで間に教育実習(当時は2週間)も入っていて忙しい毎日だったことを懐かしく思い出します。インターネットもエントリーシートもない時代で最初から面接ということも多かったです。名曲アルバムという番組が好きだからN放送、ウオークマンを愛用していたのでSニー、愛飲していたウヰスキーメイカーのSトリーと今から考えるととても人にアドバイスできるようなほめられたような志望動機ではありませんでしたが、無意識的に上にあげた項目を実行していたように思います。

人は楽観的になることができれば自然と成功する条件が備わっていると思います。今、就活に苦労しているみなさんも必ずすばらしい人生が待っていると信じて毎日、手を抜かないように前向きに行動していただきたいと思います。

(2018.6.1)

★今回の教訓:私も来年には一般的には定年の年。仕事とのお付き合いにも限りがあることを肝に銘じたい。
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オックスフォード通信(65)Social media

本日の質的データに関するセミナーはFacebookなどのソーシャルメディアの利用についてでした。ケニア出身の博士課程3回生のCさんの発表でした。

本題には関係ないのですが、本日はプレゼンターがアフリカ出身ということもあるのか、人種的バランスは白人系、黒人系、アジア系といいバランスでした。通常は白人、しかも恐らくイギリス人にチラホラ香港、中国、韓国といったアジア人が含まれることがあるくらいで、今日のようなケースははじめてのことです。

参加者のリクルートはFacebook、実際のインタビューはWhatAPPsを使っておこない、イギリスに居ながらにしてしかも費用は格安で(参加者には多少の謝礼を出していたようです)行うことができるというメリットがあります。

なるほどと思います。ただ、質疑にもなっていたのですが、データの信頼性は?という問題は残りますね。ただ、質問紙法(アンケート)にしても対面型のインタビューにしても信頼性に問題がないことはないですね。オックスフォードで社会科学系のセミナーにいろいろと参加させて頂いていますが、傾向としては質的研究データ収集に傾倒しているように思います。主として博士論文や研究プロジェクトの発表が多いので当然なのかもしれません。

ただ、昨日びっくりしたのは、対象がアカデミックライティングで実際の研究参加者は Shadow Scholar、すなわち履歴書やアカデミックペーパーのゴーストライターなんですね。ケニヤでは失業率も高く、職にありつくには英語でパリッとした履歴書が必要となるそうです(これは日本でも同じですが、ほぼ日本語で書いているところが違いますね)。一方、大学を出ても定職につくとは限らずそこで代わりの仕事又は副業としてこのようなことが起こりえるのですね。

今回の研究で利用したWhatsappは日本ではあまりなじみのないものかもしれません。Line全盛なので他のアプリは考えませんが、世界的には特にヨーロッパやアフリカでよく使われているアプリが異なることも面白いところでした。(2018.5.31)

★今回の教訓:これからはSNSも利用した研究が多くなっていくのか。Facebookも研究に使われる時代か。明日から6月。
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オックスフォード通信(64)Who are native English speaking teachers?

昨日の応用言語学セミナーは英語のネイティブ・スピーカーが議論の対象でした。

オックスフォード大で多くのセミナーに参加しながらもやはり一番興味を持って話を聞くことができるのが応用言語学セミナーであることは間違いありません。

オックスフォード大は近隣の大学からふんだんに講師を招きます(それだけのネームバリューと実際の資金があるのでしょう)。このセミナーの講師はバーミンガムのアストン大学の先生。Teacher Beliefの研究を中心にされているようです。話し方も聞かせる話し方で最初に近くの人と短いディスカッションをさせるあたりさすがにTeacher Educationの研究家という印象を与えます。

主としてネイティブスピーカー (NESTs: Native English Speaking Teachers)の立場から各国現地の先生LETs(Local English Teachers; 日本ではJTE、Japanese Teachers of English、どこかの学会名と同じですね)との関係について主としてインタビューデータを元にした分析結果を報告されていました。

いろいろと興味深い点がありました。

1. NESTsの定義:英語を母語としているだけでなく、各国の語学学校や招かれる小中高等学校では「白人、男性」という暗黙も前提があるようだ。逆に、「女性、有色人種」という場合特にNET枠に入れてもらえないことがある(ナイジェリアの男性の例を紹介されていました)。この部分は重要かつ深刻であるように思います。日本においてもこの傾向は特に強いように思います。アジア人で英語が母語の場合にも例えば語学学校ではNETの教員としては採用されないと思います(実際にそのような例を知っています)。ここで見えてくるのは各国における作られたNETのイメージして及び英語=北米や欧米といった先進国、憧れの対象というものがあると思います。一方で意図的ではないにせよ、その傾向を扇動または煽ってきたイギリスをはじめ北米諸国の責任も大きいと思います。

2. NESTsとLETsの連携:ここが議論の中心でした。NESTsに授業に丸投げされる又はその逆で部分的にしか授業に関わることができないというもの。少しびっくりしたのはNESTsがLETsが授業の構成を考えられないと思っていること。また両者に十分なコミュニケーションがない事です。この研究が重要なのはもちろん日本も含まれているのですが、調査対象が全世界であることです。この辺りがBritish Councilのプロジェクトとして実施していることの強みであると思います。

ただ、どちらかというと(当たり前ですが)NESTs側からの議論で「なぜそのような状況に陥っているのか」という分析が少ないように思いました。日本のALTの状況からすると、部分的jにしか授業を担当できないとか授業が逆に丸投げされてしまうのは、学校に常駐せず一人のALTが多くの学校を掛け持ちで担当しているという外的な要因に寄るところです(このことについて講演の後で講師の方と話す機会がありました)。

結論として、NESTs側からはmulti-linguistic, multi-cultural understanding が必要であり選考に当たってもスキルや能力ベースにすべきであるというのは全く納得できるところでした。ただ問題なのはこれから日本においても小学校からの英語教育の本格的開始を控え多くのNESTを採用しようとする機運の中でこのような正当な方法の選考が本当になされるのかという点は気になるところです。

改めてNESTの条件は?LETの条件は何か? と考えるいい刺激を与えてもらったように思います。(2018.5.30)

★今回の教訓:白人・北米信仰が最も強いのが日本だろう。厄介なのはそれが英語を学ぶ強い動機になってしまっているところ。その部分を取り払っても日本人は英語を学び続けようと思うだろうか。少なくとも変な憧憬はなくなるだろう。それはいいことかもしれない。
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