オックスフォード通信(233)バイリンガルキッズに必要な年数

オックスフォード通信(233)バイリンガルキッズに必要な年数

ESL環境における子ども達の英語能力の発達についてのセミナーに参加してきました

応用言語学の中でもピンポイントのセミナーはなかなかないのですが、月曜日夕刻の教育学部のセミナーはLeeds大学のC先生のまさに聞きたいお話でした。

多様な第一言語 (Home Language) を母語とする子ども達を対象にした大規模な調査研究で、英語能力もSentence Repetitionなど多くのテストを活用しながら、第二言語としての英語の発達に寄与するのは何なのかという壮大なResearch Questionに答える興味深い研究内容でした。

結果として、どれだけ英語を話したかということは英語能力を占う結果にはなりませんでした。英語を早く習得させるために自宅でHome Languageを使うのを控え英語を使うようにしがちだと思いますが、それは関係ナイトの結果でした。では、何が英語能力の発達に寄与するかというと、それは累積的にどれだけ英語に触れたのか(exposure)その期間ということでした。実にそれは42 monthsということですので、3年半ということになります。

アメリカの応用言語学者クラッシェンが提唱した有名なインプット仮説がありますが、まさにその仮説に沿う結果と言ってもいいかもしれません。

ただ、気になるその3年半という期間が時間に直すとどのくらいの時間になるのかということについては、時間数を正確に調査している訳ではないと言うことで換算はできないということでした。
4、5才の子どもと小学生、中学生などの違い、英語が街にあふれている環境と教室やテレビ・インターネットに英語の使用が基本的に限られている日本のような環境との違いはありますが、このように第二言語習得に影響を与えるのは、インプットかアウトプットか(インターラクションという議論はありませんでしたが)という議論は重要だと思います。

それ以上にどのくらいの期間が必要なのかという年数を概算することはある意味では応用言語学の使命に合っていると思います。

累積ということですので、もしこれを今後時間数に直せばどのくらいの「時間」英語に触れれば英語の基本的能力が身につくのかという謎への回答が今後得られる基礎になると思います。

時間なのか、開始時期なのか、インプットなのか、アウトプットなのか、その組み合わせなのか。移民を対象としたこれまでの研究では移民してきた時期(Age of Onset)が重要な意味を持つことが示唆されています。

日本人は従来6年間も英語を学んできたのにと言われますが、このC先生の研究と異なり毎日英語にどっぷり浸かっている(language bath)ではなくちびちび (drip feed)で英語の授業があったのみです。特に、Exposureとなると1000時間どころか、その1/10もないのではないでしょうか。その意味でも学習年齢や環境を超え、日本人の英語能力を考える際この研究重要な意味を持つものと思います。

(2018.11.15)

★今回の教訓:Cumulative exposure to English、一度これまで何時間英語に触れたのか考えてみるといいだろう。

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オックスフォード通信(232)オックスフォード大学が世界一の秘密(12):iSkills

はじめてITセンター主宰の3時間ワークショップに参加してきました

これまで数多くのワークショップに参加してきましたが、オックスフォード大学ITセンター主宰のものは初めてです。本日はレフェレンスの作成ソフトについてです。

私自身はEndNoteというソフトをトロント時代からですのでもうかれこれ19年くらい使っているのですが、高機能で使いやすい反面、高価であるため学生にお勧めできないという難点をかかえてきました。

このITセンターのワークショップは有料(私のようなAcademic Visitorは £20、学生・院生はその半額)なのが他のワークショップと異なるところです。

出席者は職員、教員、私のような客員研究員、学部生、院生です。私の横にすわっていたWさんは大学院生と言っていました。

最初の代表的な4つのレフェレンスの作成ソフト(Endnote、RefWorks, MENDELEY, Zotero)の概要の紹介の後、それぞれのソフトが入った5つのブースに参加者が別れて、好きなソフトを試してみる、試し方については指示書がおいてあり自分で進めてゆき、分からない所があれば手を挙げるとメインの指導者+3名のインストラクターがサポートしてくれる(教えてくれる)という流れでした。

インストラクターは慣れている様子で、流れるように進むのですが、約20名ほどの受講者のレベルがバラバラで特に超初心者の少し高齢の女性がメインのインストラクターをほぼ30分くらい独占してしまっていました。とはいえ、残りの参加者はテキパキしていたため大きな問題にはなりませんでした。ただ、何事もそうですが最初の出だしがなかなかうまくいかないもので手を挙げてもなかなかサポートしてもらえないという状況が最初の30分ほどは続きました。

iSkillsと称する(iSeminarに似た感じがしますが)今回の3時間足らずのワークショップでほぼレフェレンスソフトの概略はつかめたように思います。感じたのはこのソフト群が優れている以上にオックスフォード大学のライブラリーの検索がこのようなレフェレンスソフトに対応していて、いちいちレフェレンスを自分で打ち込まなくていいように連携ができている点です。

またMENDELEYに代表されるようにクラウドとデスクトップの連携が上手くできるのは便利だと思います。実際にレフェレンスを探すのは自宅ではなくて大学などの出先であることが多くあります。

大学が研究を主眼として、レフェレンスソフトを念頭にライブラリーの検索システムを構築してゆく。あくまでも教員、研究者、院生、学生が使いやすいようにシステム構築をしその普及のためのワークショップを有料ではあるけれど提供する、このあたりの Researcher Friendly な環境こそが多くの優れた論文がオックスフォード大学から産み出される秘密なのかもしれません。

早速、このiSkillsの知見を現在卒論を書いているiSeminarのメンバーに還元したいと思います。

(2018.11.14)

★今回の教訓:時代は進化している。

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オックスフォード通信(220)Trade off

経済学部のセミナーに参加してきました

物事には両面あるもので、例えば品物を購入する際にその製品の全体像(Object)を知る方がいいのか、それともその特徴(Attribution)を知る方がいいのか。もちろん、両方知ればいいのですが、時間的制約が有る場合には、どちらかを取ればどちらかを犠牲にしなければなりません。これを一般的に Trade Off(トレードオフの関係)と言っています。

これについて経済的な観点からの確率論のお話でした。全体像は物事の広がり(breadth)であり、特徴はその深層情報(depth)ということができます。久々にお目にかかる、例えば積分のインテグラル(∫)の式など後半は数式のオンパレードで経済ではこのような数式やtheorem(定理)を使って、トレードオフの関係にあるとき、どちらを取るべきかを確率で示すところが興味深かったです。

プレゼンテーションが終わったときはすべての終了時ということで、プレゼンテーションの間に多くの確認の質問が飛び交っていました。文系というよりは理系に近い雰囲気です。またこのセミナーは午後1時スタートだったのですが、なかなか美味しいサンドイッチとコーヒーが無料で提供されていました。

気づくのが遅いと言われそうですが、イギリスのランチタイムは午後12時ではなくて午後1時から2時の間のようです。事務職員の方がランチに出かけるのも午後1時からということが多く、それまでは気のせいかと思っていたのですが、オックスフォードだけかもしれないのですが1時間ずれているようです。

さてこのトレードオフは私の研究する学習者方略においても重要な位置を占める概念です。例えばリスニングでも細かく聞いていると次の話を聞くことが出来ずどこかで見切りを付ける決断=選択をしなければなりません。この、今分からない話を考えるか次の話のために断念するかというのもトレードオフの関係にあります。

私達は日常生活においては経験則でトレードオフに対応してきましたが、本日のセミナーの結論で示されたように、サンプルが少ない場合でxxの状況においてはこちら、サンプル数が多い場合にはこちらと数式で確率が提示されるのは新鮮でした。AIならこのような確率で判断をしてゆくのだと思います。私達も経験則だけでなくこのような確率で判断してもいいのかもしれません。

考えてみると、判断とか決断というのは、ひとつを選択して他のものを切り捨てるトレードオフをしているのだと思います。この点についてはもう少し考えてみたいと思います。

PS. 夕食にオックスフォードのウエストゲートにあるベトナム料理店Phoに行ってきました。Phoは日本のきしめんをラーメン風にしたようで美味しかったです。さすがお米で作った麺は美味です。

(2018.11.2)

★今回の教訓:トレードオフは日本語では「あちら立てれば、こちらが立たぬ」とか二律背反と言われる。

本日は英語英文学科のシェークスピアプロダクションの公演日。Break a leg!f:id:wakazemi:20181101170542j:image

オックスフォード通信(214)大学の教員のしごと

大学教員の最大の任務はやはり研究にあると思います

これはオックスフォード大学にてつくづく思うところです。世間の常識からは少し距離を置き、冷静に研究テーマを追いかける時、最終的には世の人々へ貢献できるものが見つかるのではないかと思います。

その研究は平凡でいいとおもうのですが、何か「あっと」思わせるものがないといけないと思います。それは結果が画期的とかそういうことでなくても、こんなしょうもない様なテーマについてよく何十年も時間とお金をかけて研究し続けているよな、というような研究への執念でもいいと思うのです。その研究にかける「意気込み」を感じられれたときに、その研究は多くの研究者の心を打つのだと思います。

オックスフォード大学の研究の多くはそのような「基礎的」かつ「オーソドックス」なものが多く、それを丁寧に積み上げている印象があります。もちろん、それを可能にするような多くの時間が教員に与えられていることは事実ですが、その時間を有意義に使っていることも事実です。

今夕は大手某報道機関で記者として活躍しておられるPさんのセミナーに参加してきました。報道には誤報 (misinformation)や誤解(misinterpretation)が付きものだがそれにどのように対処するのかという議論が中心でした。また政治家の場合にはpublicとprivateの区別も付きにくい点も指摘しておられました。特に、印刷した新聞であれば訂正も出すことができますが、digital 媒体での配布の場合にはそのスケールもスピードも大きく速すぎるので訂正が事実上不可能となります。

今回は報道する側からの議論でしたが、それを受け取る側のliteracyも重要になってくると思います。議論にもありましたが、easy to make mistakesと同時に私達もeasily believeという傾向があります。特に大学生は携帯の情報を過信する傾向にあると思います。今後も議論の俎上にのぼるトピックであると思います。

最後に司会者が述べておられた、contemplate(思案する)ばかりでなくact(行動)しながら考えているところに勇気づけられる(I am encouraged)という点もこころに刻みたいと思います。

PS. オックスフォードはすっかり冬になった感じです。ついに手袋をはめるようになりました。マフラーも準備。

(2018.10.27)

★今回の教訓:今日は久々(?)に18期生の卒論のドラフトを読んだ(すいません、ペースを上げます)。第4章のデータ分析は大枠は共通にしておき、そこからtrial and errorによって修正してゆくしかないだろう。f:id:wakazemi:20181026182515j:image

オックスフォード通信(213)Oxford University が世界一の秘密(11)

オックスフォードでは一日にどのくらいのセミナーが開催されているのでしょう

春のTrinity学期は学年の終わりということもあったのでしょうが、セミナーはそれほど多くなかったように思います。または私自身がイギリスの生活に慣れていなかったので見逃していたのかもしれません。

いずれにしてもこの10月からはじまった Michaelmas Term は午前、ランチタイム、午後と各学部や研究所で多くの興味深いセミナーが開催されています。本日は、午前中はボードリアンライブラリー主催の論文のデジタル化とコピーライトについてのワークショップ、ランチタイムは実験心理学部主催の遺伝マーカーと疾病との関係についての研究の在り方について、夕刻は環境地理学部主催のエコシステムについてのセミナーとはじめて1日に3つのセミナーに参加しました。

それぞれ私の研究に直接関係ないのと同時に研究へのインスピレーションがいろいろと湧いてくるワクワクするセミナーばかりでした。このような環境の中で同僚の発表を聞いたり、発表したりとする中で、新たな tipping point(転機)がやってくるのは自然なことだと思います。研究が立ち止まることなく自然と進んでゆくのだと思います。

午前中のデジタル論文のワークショップでは2007年からオックスフォードで Open Access プロジェクトがはじまり現在ではイギリスで博士論文を執筆した場合には印刷物と同時にデジタル版の提出が義務づけられているとのことです。その中で今年3月に逝去されたStephen Hawking の博士論文もCambridge大学がインターネット上で全文公開に踏み切っています。1 2 。実際に British Library EThOS (e-theses online service) 上でキーワードで検索してみると論文がそのままネット上で読めるものがあります(全部ではありません。著者自身に許諾を求めて許可が得られたら読めるものや論文のコピーをスキャンしてpdfを送ってもらうものなど[有料、かなり高額])様々)。このインパクトは大きいです。

本日のワークショップでも話されていましたが、公開することによって、多くの人に読んでもらい、引用してもらうなど論文の研究価値が高まる可能性があるとのことです。日本でもレポジトリーで論文を各大学が公開していますが、博士論文まではしていないと思います。これはイギリスの方が10歩くらい進んでいると思います。

セミナーのメモはすべて一冊のノートに必ず見開き2ページ以内に収まるように取っています。ランチタイムセミナーのDrothy教授は自分の学部卒業から現在に至るまでの経緯を1枚のスライドでお話になっていましたし、夕刻のMalhi教授のエコシステムはエルニーニョ現象だけでなく地球環境の過去と未来を現在を起点に考えるなど発想が優れていると思いました。

そりゃ、このような話を自転車で10分くらいの距離を移動すれば自由に聞くことが出来るというは研究への刺激という点は大きなメリットだと思います。さすが世界一です。

京都もコンソーシアム京都に京大が入らないとかせこいことを言っていないで、京都中の大学がこのような公開セミナーを毎日開くような度量の広さを示してゆくときに来ていると思います。京都市が財政的なバックアップをすれば10年も経てば京都中の大学の研究レベルが向上しより多くの学生が集まることによって元が取れると思います。

論文のインターネット公開とこのセミナー、実は「そのこころ」は同じなように思います。研究内容を惜しげもなく公開することによって、より多くの研究者とネットワークができると同時にその研究が引用される機会が多くなるはずです。

Open Access この姿勢をオックスフォード大学全体として採用しているところにこの大学の強みがあるように思います。

(2018.10.26)

★今回の教訓:Hawkins博士の自筆の博士論文から伝わってくるものは大きい。f:id:wakazemi:20181025130417j:image

オックスフォード通信(212)ヘイトクライムとソーシャルメディア

オックスフォードにはインターネット・インスティテュートがあります

ここはオックスフォード大学では比較的新しい学部で21世紀になってから創設されました。本日はソーシャルメディアとヘイトクライムに関係があるのかどうかというセミナーに参加してきました。

最初に参加しようと思ったときにはまずこの場所がなかなか分かりませんでした。マップで見るとシティーセンターに非常に近いところですが、それらしき建物がありません。オックスフォード大学の公開セミナーで大変なのは本当にいろいろな場所で開催されるのでその場所になかなかたどり着かないことです。結果的にこのインターネット・インスティテュートは一見、誰かのフラットのような玄関が入り口になっていました。

他のセミナーと異なるのは会場が狭いせいか必ず事前登録が必要で入り口できちんと氏名確認がなされるところです。本日のセミナーはタイトルが示す通り、関心が高く、別室にまでテレビ中継されていました。

昼のセミナーは経済学部で台湾の大学教授、このインターネットセミナーはイギリスの Warwick大学所属ですがドイツ出身の先生です。それぞれ特徴のある英語を話されますが、英語がグローバルリンガフランカとして機能していることを実感します。

ヘイトクライムについては、ドイツにおける研究とアメリカにおける研究の2本立てになっていました。ドイツにおいてはFacebookに参加していることが、アメリカにおいてはTwitterに参加していることが、それぞれ反移民のサイトからの発信、トランプ大統領の反イスラムについての発信が実際のヘイトクライムの発生に影響を及ぼしているのかについての相関関係を利用した分析でした。ドイツにおいては相関あり、アメリカにおいては相関なしという結果ですが、結果以上にこの研究の着眼点が面白いと思いました。また、相関関係なので因果関係に言及できないところですが、ソーシャルメディアがヘイトクライムを誘発しているというよりは、ヘイトクライムがあるとソーシャルメディアの発信が増える可能性があるのではないかという点も興味をそそられました。

人間の行動に関することはあらゆることが研究対象になると実感することができます。

一見、現在の私の研究に関係ないように見えるところもありますが、気づきがあるということは、氷山の下の部分か上の部分かは分かりませんが、必ず関連してくるのだと思います。

また今日は教育学部の日本人新大学院生のAさんともお話する機会がありました。入学されたところですがもうResearch Questionを決めなければとおっしゃっておられました。研究のスタートは何かと大変ですが、一方でワクワクするものです。Aさんの目も輝いていました。

(2018.10.25)

★今回の教訓:インターネットはこれからますます研究対象となることだろう。

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オックスフォード通信(209)慣れることとスキルの関係

車の運転に慣れてきました

イギリスでの生活も半年を超えてくると自分の中でのいろいろな変化に気づきます。到着当初はオックスフォードの石造りの建物に一々感動してましたが今では日本の木と紙で作った家の方が温かみを感じるように思います。

異文化としての車の運転や食生活にも随分慣れてきました。車の運転については何度も書いていますが、ラウンドアバウトのパターンが体の一部なって、自然と(自動的に)手や足が動くようになってきました。パブでのしきたりもすっかり理解できるようになりました(考えてみるとどのパブもパターンが一緒です)。イギリスでの食べものも客観的に見ることができるようになってきました。特にイギリスの食べものが特段美味しいわけでもありません(日本の方が美味しいと思いますが)。

イギリス英語も単語や発音の違いに戸惑っていましたが、まだすっかりとはいきませんがずいぶん波長が合ってきたように思います。

大学での顔見知りの人も増えてきてこのイギリスに住んでいることを実感できるようになってきました。

何事にも「慣れ」というものがありますが、この慣れには「時間」が必要であると実感しています。慣れるとスキルが向上するのだと思いますが、異文化への適応の時間を短縮する方法はないのでしょうか?

例えば、英語の4スキルのなかで「慣れ」が一番重要な部分を占めるのがリスニングだと思います。リスニングの慣れとは、それまで少し時間をかけて考えていたことが考えずに自然と理解できるようになる事だと思います。これには、海外生活では時間、つまり英語を聞いた時間が大きく影響します。今考えているのはこの時間を短縮する方法はないかということです。

日本では日々の生活で英語を使うことはありませんので結果的には「時間切れ」で英語学習が終了してしまうことが多くあると思います。従来型のひたすら聞くという方法ではなくて、listening を Accelerate する方法は無いものかと思っています。あと半年弱の生活と研究の中でその「Tips」を見つけたいと思っています。

もうすぐ Halloween のシーズン、スーパーマーケットにも大きなカボチャが目に付くようになってきました。

PS. 今日は Abington で買い物のついでに Sunday Roastを食べてきました。これまでで最も機嫌が悪そうな女性がレジをしていました。ローストは美味でした。

(2018.10.22)

★今回の教訓:10/22は時代祭と鞍馬の火祭。火祭りは今年は中止と。来年は是非ゼミメンバーと一緒に見に来たい。
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オックスフォード通信(205)インドにおける女性の政治参加問題

Nuffield College で開催されたセミナーに参加してきました

インドにおける女性の社会的地位について興味があったからということもあるのですが、このセミナーはお昼ご飯付きで(サンドイッチとコーヒー)あるということも引きつけられた理由の一つです。

オックスフォードのいいところはあらゆるカレッジ、学部でセミナーが開かれているのでいろいろな場所で多様な話をお聞きすることができるところです(不思議なことにEnglish Departmentだけ公開セミナーをしていません)。ただ大変なのはそのカレッジの中のセミナールームを探し当てることで、ロッジ(受付)で聞いてもなかなかその場所まで行くのは難しいのですが、私のようにウロウロしている人がいるので大抵その人達と一緒に行くと目的地に到着できます。本日のロッジのスタッフはよほど慣れているのか、オックスフォードいやイギリスに来てからこれ以上ないくらいの分かりやすいクリスタルクリアな説明をしてくれました。

さて、インドの女性の政治参加意識ですが、日本と似ていて異なる所があってとても興味深い状況でした。似ているところは男性中心社会であることと政界や地域でも男性が実権を握っているところです。一方、異なる点は、インドは女性はHousehold(家事)に従事することが圧倒的ですが、日本ではむしろ真反対の傾向で、結婚する女性や男性の家族と同居することは激減し、代わりに家庭に縛られることなく社会で働く女性が多くなっているところです。

インドでは arranged marriage(お見合い結婚)の比率が高いようで、生まれ育った地域を離れて男性の住む地域に移り住むことがそれまでのつながりから切り離され孤立し、その一方で家事や育児に縛り付けられ政治参加や投票行動から遠ざかるというシナリオになるとのことです。

本日のスピーカーのSさんはプロジェクトしてGroupingを取り入れた効果を発表しておられました。それは孤立した女性のネットワークをつくり女性同士のグループを作ることによって、いろいろな話をする機会が増え、政治意識も高まってきたという内容でした。インターネットが高度に発達した中でもこのようなグループの効果をあらためて実感する機会となりました。

研究手法としても必ずコントロールグループ (Control Group) とトリートメントグループ (Treatment Group) を設定して比較しているところが手堅いところだと思います。

一方、素朴な疑問としてはインドの女性がそのような政治参加や意識向上を望んでいるのだろうかという点も挙げられます。西欧的な認識からすると男女は平等でなくてはならないのですが、このプロジェクトが終わった後にもその意識は維持されるのか、考え込む点もあります。

ただ女性達が一緒で笑顔につつまれている写真を見せて頂いたのですが、どの社会でも自由に伸び伸びと生きたいと思う点は普遍的なものであると思います。

私の母が広島に嫁いだころは恐らくこのインドのような状況だったのかもしれないと思いながらサンドイッチを頂いていました。

(2018.10.18)

★今回の教訓:アットホームな環境でのセミナー。セミナーの雰囲気や環境もあらためて重要と認識。
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オックスフォード通信(204)Raschモデル

統計の1日ワークショップに参加してきました

統計は現在4回生の卒論でもそうですが、応用言語学に必須のものです。今回参加したラッシュモデルは項目反応理論と一緒に議論されることがある高度な統計手法です。あとから分かったのですが(私の場合、このパターンが多い)オックスフォード大学にはイギリスでも2人しかいなこのラッシュモデルを研究に応用しているJ先生とR先生がいらっしゃいます。このお二人も参加されて、The Western Australia大学のD先生が講師の一日ワークショップが開かれました。

午前中は理論の講義で午後が実際にアプリケーションを使っての実践となりました。

正直なところSPSSに慣れていたためまず細かくデータ設定をしていくところからつまずいてしまいましたが、なにせ普通なら大学院の半期で教える内容を一日で教えて頂くのですから文句を言う筋合いはありません。J先生にも助けて頂いて何とかデータの設定ができ、分析にまでたどり着きました。

統計というとトロント大学で西里静彦先生にDual Scaling を中心に半年間みっちりと教えて頂いて以来となりますが、どうしても統計学は数式が入ってきてしまいます。数学は好きな方だったのですが、統計の数学は何度聞いても慣れることが難しいです。

あとから分かったことですが、14名の参加者はみなそれぞれこのラッシュモデルを博士論文や研究に実際に利用している人達ばかりで背景知識ゼロのズブの素人は私一人だったようです。知らないと言うことは恐ろしいことです。

ちょうど、Lawn Tennis をしたときに使ったことのない筋肉を動かし激しい筋肉痛に襲われたように、一日のワークショップが終わった頃には、頭の中の酸素と血液を全て消費したような疲労を覚えました。

一日で40年分のこのモデルの進展を教えて頂いたのですから仕方ないことかもしれません。

何とか、今後、テストの開発(e.g., 学科の語彙テスト)や質問紙の改訂に役立てたいと思っています。まずは、年末まで使用許可を頂いている統計ソフトの使い方をマスターしたいと思います(ウインドウズ版のみでマックではパラレルのようなエミュレータをインストールしないと使えない。それ自体とても不便)。

このソフトを使った後にSPSSを使うとこれまで面倒と思っていた操作もとても簡単に思えました。ちょうど、野球で重たい金属バットを振った後に木のバットを持つと軽く思える「マスコットバット効果」(勝手にそう呼んでいます)ですね。

しかし、統計は難しいですが面白いです。見えないものが見えるようになります。

(2018.10.17)

★今回の教訓:一日ワークショップのような集中学習は体力もいるが効果は絶大。なによりも集中力が高まる。
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オックスフォード通信(202)Visual stimulus

Physiology(生理学)のセミナーに参加してきました

カーディフ大学のF先生が1時間にわたって、視覚刺激を間隔をあけて与えた際のネズミの大脳皮質(cortex: retrpsplenial cortex: RSC)の変化についてお話になりました。RSCがエピソード記憶の鍵を握っているという前提での実験結果の紹介でした。

やはり専門外の話になると途端に理解能力が落ちるものでセミナーのほぼ全てが研究結果でしたが中々全体像を理解するのは難しかったです。一方、流石、理系(?)グラフの作成や提示、図解の提示が明快で分かりやすくなっていました。また場面によっては背景を黒にして白字で提示するなど、今後のプレゼンテーションの参考になることが多かったです。

いわゆる階段教室でのお話だったのですが、声がこもって聞きにくいのが意外でした。

ご出身はドイツだと思うのですが、英語自体は分かりやすい文法を使っておられたのですが、専門用語の意味を考えていると話が飛んでしまいますね。通訳をされる方でも専門以外の分野については事前に背景知識や用語を理解してから臨むと伺ったことがあります(進士和恵先生)。

その通りですね。

ただ記憶の住処について徐々に研究の光があてられていることは素晴らしいことだと思いました。この学期は少し専門分野外にも意欲的に挑戦してみたいと思います。

(2018.10.15)

★今回の教訓:普段行かない学部や建物に足を踏み入れるだけでもワクワク、ドキドキする。それはいいことかもしれない。
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オックスフォード通信(201)How we see the world

World Bank の首席エコノミストのRさんが約1時間にわたって行動科学的な手法をDecision Makingにどのように活用しているかお話になりました

政策・政治・経済学と畑違いの分野ですが、新鮮な切り口を見せて頂いたように思います。特に、データ分析をベースにしながらその分析結果をもとに活動方針を決めていくという手法は組織としては重要だと思います。

最初のアイスブレーキングゲームでしたように、確かに握手などによって相手について直感的な情報を得ることはできますが、それがどれ程正確かどうかは不明です。顔の表情による判断もそうです。これらのDecision Making は結構当たっていますが(会場の意見はほぼ一致していました)、エビデンスを基礎とした方が問題の解決策にたどり着きやすくなります。

例としてあげられていたのは、発展途上国での人生観ですが、どのくらい自分の人生をコントロールできていると思うのかという問題について、直感的には途上国であるほどその比率は低くなると判断しがちですが、実際のデータは先進国と変わらない数値である事を示していました(日本などは逆に低いかもしれません)。

また、教育プログラムの紹介がありましたが、Growth Mindset(成長する自己イメージ・マインドセット)を産み出すためのプロジェクトの中でLearning Strategiesを教えるという部分は興味をひかれる部分でした。やはり学習方法を教えないと先生がいないところでは(辺境の地出あれば尚更です)自分で学ぶことが重要となります。

“What happens in the future depends on me” という言葉にも引きつけられるものがありました。

会場のBlavatnik School of Government は普段立ち寄らない建物(セキュリティーが厳しい)ですが参加している大学院生や研究者も教育学部とは雰囲気が異なるのも面白いところです。

またギリシア語を母語とされるかたの英語を聞くという意味でも興味深いセミナーとなりました。

PS. ゼミの各期のみなさんや友人、先輩、諸先生から200回目を祝うメッセージを頂きありがとうございました。

(2018.10.14)

★今回の教訓:Decision Makingという観点から考えると、逆に直感の方が合っていることの方が個人の行動にはあるけれどそれが組織になると一部の人間の直感に頼るのは危険なのだろう。今の日本やアメリカがそうかもしれない。How we see the world, How we decide. eMBeD
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オックスフォード通信(200)Thinking outside the box

オックスフォード滞在が200日目となりました

この通信も最初は2-3回書けば、と思ってはじめたのですが、イギリスに住んでみて戸惑い、発見、怒り、喜びなどその時に書いておかなければ忘れてしまうものが多くあったので書いている内に50回、100回と回数を重ねることができました。これも「時々読んでいます」といったゼミや大学の卒業生、又は他大学での受講生の皆さんからの温かい励ましがあったからと感謝しております。

この200日で随分、自分のものの見方も変わってきたと思います。

また、来年度の授業の計画を立てる段階でこれまでとは違うアイディアで授業を見ることができるようになったと思います。言い方を変えると、これまでは「こうでなくてはいけない」という固定観念に知らず知らずの内に囚われていたように思います。授業の講時についても、何曜日でなければならない(例えば、4回生ゼミは木曜日の4時間目でなくてはいけないとおもっていたのですが、現在のゼミメンバーに聞いてみると案外月曜日でもいいという返答が多くありましたこの授業は課題を出さなければならないと思っていましたが(外国語教育論では伝統的にMoodleにコメントを書いてもらっていましたが変更してもいいように思います)、課題なしの講義というスタイルでもいいのではないか、その分、参考文献を提示して学習したい学生が事前に学べる仕組みをつくればいいと思うようになりました。

そんなの簡単なことだと思われるかもしれませんが、なかなか変えることはできないものです。一端はじめたことを途中からリセットするのは面倒くさく、腰が重たくなります。

また毎日、夕食を決まった時間に食べられるようになって、これまで夜の10時くらいに帰宅してから夕食を食べていたことが必ずしも良くないことだと分かるようになってきました(今更?)。仕事量は変わらないと思いますので、これからはそれだけ、仕事にメリハリをつけないといけないということだと思います。

来年度の授業時間割も1つの大学の分を除いてほぼ決まってきたのですが、これまで夜の7時半から9時過ぎまで担当してきたある大学院の授業も夕方の4時半からに変更していただきました。

すこし現場から離れてみることは少し遠くから物事を見ることにもつながるということなのでしょう。

Think outside the box、ということですね。

オックスフォードに来る前にある先生から、Before Oxford (BO) – After Oxford (AO) のようにいわば歴史の時代が移り変わるかのような違いがでないといけないと、助言を頂いたのですが、そのような認識の変化が起きているようにおもいます。あとは行動ですね。

このオックスフォード通信も365回まで綴ることができれば、是非「アフター・オックスフォード通信」として続けてみたいと思っています。

引き続き、御愛読の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

(2018.10.13)

★今回の教訓:10月はセミナーも多く、コンピュータ関連の講習会にも数多く参加する計画を立てている。オックスフォードの真髄発揮というところか。
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オックスフォード通信(199)Causal Effect

Causal Effect、いわゆる因果関係についての(実験)心理学のセミナーに参加してきました

Causal Effectはピアソンの積率相関係と一緒によく議論される概念で、2つのものの間に相関関係があるからといって因果関係があるとは限らない、と習うと思います。そう聞くとこの2つのものは無関係のように思うかもしれませんが、そうではなくて「限らない」ということです。つまり、相関があるといってすべてのものに因果関係があるわけではないのですが(たまたま他の要因と結びついたもの同志に相関がある場合:[例] 大学入学試験になると雪が良く降る、これは入試があたかも雪を呼び込むような迷信=superstitionsですが、入試が冬に行われ、雪は冬にふる、この二つの関係セットで相関を見ているのであたかも雪と入試に関係がありそうに思ってしまいます。試しに、夏に入試をしてみてそこで雪が降れば、この2つの因果関係は証明されますがそうはならないということですね)、逆に言うと、因果関係のあるものは必ず相関があると言えます。ですから、相関関係のあるものの中で因果関係があるのはどれだ、と考えてみるといいわけです。またはそのような統計分析(例、回帰分析やパス解析)を取るわけです。

さて、本日のランチセミナーは、R先生によるものでしたが、7つの関連した実験を通して、どの刺激又は刺激がないこと(Empty Time)が学習 (広い意味でのLearning)に貢献するか実証した者でした。普段、応用言語学の分野であまり実験をしないため、実験心理学のような緻密なプランによる実験によって効果を確かめる手法がまず面白いと思いました。

質問紙による調査に頼らざるを得ないことが多いのですが、その場合、他の要因が影響している可能性を完全に排除することができず、更に質問紙自体がやや一般的なことについて聞くことが多いこと、そして何よりもそのデータが参加者自身によって回答されていることがデータの信頼性にとって問題となることがあります。

その点、今回のR先生のような反応をみる実験であると、もちろん参加者からの反応によるのですが、言語化していない(Verbal Reportでない)点がすっきりしている点です。

本日の、Contingency Learning(刺激に対する反応)を見る実験はシンプルですが、結果がハッキリとでるところが気持ちいいところです。そのなかでstreaming procedureという手法を取る中で空白の絵=Empty timeの効果を見ようとしたということですが、結果を断定するには至らないとのことです。

ただ、この因果関係を探す中で、入試と雪のような、迷信(superstition)の蒙昧を解くような作業が期待できるのが面白い所です。

関係ないですが、今回の会場となった Worcester College は奥に美しい芝生があり、新築された Sultan Nazrin Shah Centre は緑の中に映える美しいオーディトーリアムでした。

(2018.10.12)

★今回の教訓:応用言語学で実施できる実験を考えてみると面白い。R先生が最初におっしゃっておられた 記憶の研究も Learning における因果関係の研究の枠組みに含めることができるのだろう。
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オックスフォード通信(198) MT

本日はMultilingual Teaching(MT)についてのセミナーに出席しました

講演者はカナダ・トロントのRyerson 大学のR先生でした。現在、トロントを中心に世界各国でMultilijngual Teaching が展開されていてその理論的根拠について丁寧にお話いただきました。

トロントというと私と家族が約20年前に住んでいた大都会で(日本でいうと渋谷のようなところのアパート18Fに住んでいました:とても便利で「部屋」から徒歩5分以内の所に映画館が3つありました)、当時子ども達は8-9才(小学校1年生~3年生)の2年間、地元の Jesse Ketchum Junior and Senior Public School に通っていました。

今日のお話をお聞きしながら自然とその当時の事を思い出していました。先生方がとても親切で娘の担任の先生はMs. Yoshidaという日系カナダ人で(もともと和歌山出身だと言っておられましたがカナダで生まれたので日本語はほとんどしゃべれないと言っておられました。ただ、顔つきが全く日本人のままだったのでそれだけでほっとしたのを覚えています。偶然ですが、校長先生も日系のカナダ人でした。息子の担任はMr. Reedというカナディアンでしたがフレンドリーでいつも息子のことを気にかけてくれていました)。

トロント大学のすぐ横の小学校ということもあり、生徒の親が私のように大学院生であったり研究者であったりするので、もともとトロント自体が移民が多い街ですが、このケッチャム小学校に限っていると半数以上が外国人又は移民であったように思います。カナダ自体がBilingual Education, Plural Culture を政策にしているのでそのような移民の子ども達も温かく迎え入れようという風潮はありましたが、移民の子ども達の言葉をクラスに積極的に取り入れようということはなく、むしろなるべく早く英語に慣れてカナダ生活に溶け込ませようとしていたように思います。

本日のR先生のお話の要点は以下の通りです。

MT (Multilingual Teaching) は移民や外国からのビジターの子ども達だけでなく、すべての人(生徒も教師も含め: For everybody)が利益を得ることができる。

これまでの英語に慣れさせるという方法であると、Home Language を徐々に失うことになり損失である。移民の子ども達は声を上げることすらできない。また、Home Language で得た知識を活用出来ないことは大きなロスである。

世界がグローバル化しているのに応じて、カナダの英語母語話者もローカル・カリキュラムに留まるのではなく、このMTを通してグローバル・カリキュラムに触れるようにするべきである。

NewcomersとMonolingualの二項対立ではなくて、カナダ人も移民も Bilingual(英語+α)になることができる点にMTの醍醐味がある。

そのために教師の役割や覚悟も重要である: All teachers are all language learners (Cummins, 2005)

世の中が英語一色のグローバル化を突き進もうとしている中で、EGLF (English as a global lingua franca) と併せて、カナダでこのような MT (Multilingual Teaching) を通して、英語母語話者もよりグローバルになろうとする動きがあるのが素晴らしいと思います。

ただ、質問もさせて頂いたのですが、カナダやトロントの教育委員会がこのMTを採用しているわけではなく、単に”… embrace various languages” と唱っているに留まっているとのことです。MTが広まるには、R先生も仰っておられましたが、MTなんてできないとうそぶく先生の足を止めて、こうすればできる、こうすればこんないいことがあると話をしながらひとりずつ説得しているいく必要があるようです。

“Teaching through a multilingual lens” (Cummins, xxxx) という発想が必要なのでしょう。

あらためて英語をネイティブとする側から、移民や外国人の子ども達を受け入れる側から、一歩も二歩も歩み寄る姿勢は新鮮で重要だと思います。ただ、一方でその歩み寄るなかで英語の母語話者の子ども達が得ることができる「グローバルマインド (Global Mind) 」とは何なのか、この部分についての理論的な整理が必要だと思いました。

R先生のおっしゃるように、英語しか話すことのできないMonolingualsではなくて、いろいろな言語に寛容でコミュニケーションすることのできる人達がグローバルマインドの範疇に入ると思うのですが、まだ私もその続きが分かりません。

カナダやイギリスへの移民という問題以外にも(もちろん日本へのブラジルや中国からの移民してきた子ども達の日本語問題も含めて)この問題は重要な問いかけをしていると思います。

英語を母語としない者:EGLFとして英語を学ぶ
英語を母語とする者:英語を話そう、学ぼうとする隣人の言語に寛容でできればその言語を学ぼうとする

何かこの辺りに、これまでの「グローバル化している世界だから英語を学ばなければいけない」「なぜ英語なのか(英語帝国主義論)」の対立を解く糸口があるようにも思いました。

ちなみにR先生の母語はウクライナ語であると仰っておられました。

(2018.10.11)

★今回の教訓:グローバルレンズを通してみるといいことって何だろう?これが分かると(説得力のある答が得られると)世の中の問題が結構片付く。
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オックスフォード通信(197)Poster Presentation

学部全体でのポスターセッションに参加してきました

これはいい機会と私もH先生との共同研究のここまでの成果をポスターにまとめて発表させていただきました。5:00-6:00がポスターセッション、6:00-6:30がラウンジが新装されコーヒーコーナー(Pring’s)の公式オープン行事でした。

教育学部には数多くのリサーチグループがあり(約10個)、そのリサーチグループ毎にポスターボードコーナーがあり約1時間にわたりポスターを通した発表会となりました。

学生の皆さんもそうですが、私達もこのような発表の機会は以下の意味で重要です(1)期限までに何とかデータや考えをまとめようとする、(2)人前で発表するので適度なプレッシャーを感じながら頭の中でリハーサルをする、(3)ポスターセッションのように人と話をすることによって新たな発見がある。

トロント大学のMerrill Swain 博士が提唱したアウトプット仮説がありますが、まさにアウトプットすることによって自分の研究の欠陥に気づき、また仮説を試す機会となります。本日いろいろな人と話をする機会がありましたが、グローバルリンガフランカとしての英語をどのようにストラテジー研究に結びつけるのか、いいところまでは来ていると思うのですが、もう一歩考えを進めないといけないと自覚することができました。

同時にこの発表会を通して多くの人と話をして知り合う機会になりました。現在、4回生の卒論のなかで、Trigger(きっかけ)が外国語学習において大事ではないかと考えている人がいますが、その通りだと思います。ひとつのきっかけで世界が大きく広がり、気持ちが豊かになることがあります。

よく、Never miss an opportunity to be fabulous! と学生の方に言っていますが、本当ですね。正直、発表会の前は少しドキドキしていましたが、終わってみると晴れ晴れした気持ちになります。人生、少しドキドキする事の方がいいのかもしれません。

Never miss an opportunity to be fabulous!

(2018.10.10)

★今回の教訓:さあ、第二歩を!

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オックスフォード通信(196)iSeminar 18回目

本日のiSeminarは前回に続きChapter 2&3についてのプレゼンテーションでした

日本は体育の日の祝日でしたが、最近の大学は授業日数確保のため月曜日の祝日は成人の日を除き授業日となっています。

3名欠席(内、1名は教育実習)の中、8名がプレゼンテーションをおこないました。私はドラフトを既に読んでいるので内容はよく知っているのですが、書いたものを読むのと、本人が口頭で発表するのとでは大違いでいろいろと考えが浮かんできます。

6分(プレゼンテーション)+ 3分(質疑応答)+ 1分(交替時間)= 10分間を一人の持ち時間として8名がプレゼンテーションをおこないました。この方式はこの10年くらいゼミで実施している伝統の方式です。こう言うと、20分くらいの時間をとって3-4名ずつくらい進める方がいいのではないかという意見もあるかもしれませんが、全員がプレゼンテーションが終わるまでに1ヶ月以上かかってしまいます。

3回生でBehaviorism(行動主義)を学んだのですが、そのステップ・バイ・ステップ方式はこのような卒論を進める際には有効だと思っています。

さて、iSeminarらしく、パワーポイント(必ずしもマストではないけれど)でのプレゼンの後、オックスフォード側から私が質問→応答、あと1名くらいの質問ですぐに時間切れで「もう少し質問したい」「もう少し話したい」という気持ちがあるのは事実です。

ところで、本日のゼミ(後半の議論)で問題になったのが、英語でプレゼンテーションをすると、内容の理解が十分できないので、有益なコメントを書きにくいという意見がでてきました。もっともだと思います。一方で、発表者がドラフトを棒読みしているので(本人ですら)分かりにくいという意見も。このような議論ができること自体が貴重だと思います。

現在、私が所属するオックスフォード大学教育学部では、EMI(English Medium Instruction)についての研究が盛んになされていますが、この理解度の問題はこのゼミの英語での発表問題に限らず重要な問題であると思います。

10月もそろそろ半ばです。

後から考えるとこの10月にもっと頑張って卒論に取り組んだら良かったと言わなくていいように、お互い時間を大切にしたいものです。

幸いにしてFacetimeは3時間半のゼミの中で2回フリーズしただけでした(フリーズしても音声と同志社女子大学側の映像は正常に映っていました;いつフリーズするか分からないのですが、フリーズしている時の映像は重要だと今日思いました。時々間の抜けた顔のままフリーズしていることがあるのですが、その映像をインターネットを通して自分でみることほど間の抜けたことはないと思います)。

そうそう今日は1回三脚に固定のMacがこけました。キャスター付きですがどこかで引っかかったのでしょう。気をつけていきましょう。

(2018.10.9)

★今回の教訓:秋学期のゼミも順調なペースになってきた。今年のメンバーでできることをもっとやっておきたい。
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オックスフォード通信(194)もう2019年?

本務校の同志社女子大学から2019年のゼミシラバスを書くようにメールが届きました

このようなメールを読むと一気に気分が来年度になってしまいます。考えてみると毎日書き続けてきたこの通信ももうすぐ200回、優に1年間の折り返し地点を過ぎたことになります。

来年度はすでに多くの授業が決まっていて、有り難いことにこの在外研究を機に一端辞めさせて頂いた大学・大学院からも来年度から引き続き非常勤講師をするように依頼をいただいています。忙しくなるのは当然ですが、このような厚意には何とか時間をやりくりしてお応えしたいと考えています。

さて、来年の授業で少し頭を抱えるのは、学生のみなさんが集まってくれるかということです。おかげさまでこれまで情熱と意欲を持った優秀な学生のみなさんが結集してきてくれて世界一と豪語できるゼミを作ってきてくれました。iSeminarをしている本年度の4回生(18期生)も史上希に見る素晴らしいゼミになってきています。

問題は本年度、京都の地で授業を担当していないので学生の皆さんが私のことを覚えていてくれるか少し心配しています。もちろん来年度の4回生ゼミは3回生なしの4回生スタートなのでそれほど多くのメンバーが集まることは想定できないと考えています(しかし、Yさんのように、私のこの在外研究に合わせて、若ゼミに参加すべくドイツでのワーキング・ホリデーの後にもう一年今度はオーストラリアでワーキングホリデーをして待ってくれている学生の方もおられます。来年4回生もきっと創造力に富んだゼミになると思っています)。

そこで現、4回生、iSeminarの若ゼミ18期生のみなさんに相談したところ(困ったときには、素直に学生の皆さんの意見を聞くのが一番です)、さすが20代、頭が柔らかい、いろいろと考えてくれました。考えるだけでなくいろいろとすでに行動を起こしてくれています。

そのひとつがインスタグラムです。私はTwitterかと思ったのですが、インスタの方が断然いいということらしいです。現在、若ゼミの紹介をすべくゼミインスタがスタートしていますので、来年度若ゼミにと思っている人も、卒業生の方も、たまたまこのブログを読んだ人もよかったらご覧下さい。またとかくいろいろな風評が立つ若ゼミですのでその疑問に答えるべく FAQ (Frequently Asked Questions)のページも立ち上げてくれる予定になっています。

本日は、一日雨で、11月下旬のような気候でした(最高気温8℃)。夕方、ジムに行ったところ(最近毎日30分体を鍛えています)、教育学部のSさんにバッタリお会いしました(というか、私がランニングマシンにいるところを見つけて声をかけてくれました)。Sさんには4月当初、訳が分からない際にいろいろと親切に大学のことやこの街のことについてアドバイスを頂いたのですが、この度目出度く博士号を取得されたとのことでした(オックスフォードでは口頭試問のことをvivaといいます)。いつも明るい方ですが、今日は一層顔が輝いていました。Sさんおめでとうございます!(偶然の一致ですが、トロントで一番仲の良かった院生もSさんと同じ名前でした)。

Sさん、博士号取得、おめでとうございます!

(2018.10.7)

★今回の教訓:残り時間を考えながら、来年度を想像しながら「残りの時間」を楽しみたい。
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オックスフォード通信(191)Coffee Morning

今週の水曜日も学部のCoffee Morningに参加してきました

といっても本日は人も少なく(先週は学期の始まる前だったので非常に多かったのかもしれません)3人と話しただけで終わってしまいました。私が到着したときには皆さん席に着いている感じだったので、そこに知り合いがいないとなかなか入っていけないものです。まあ話が盛り上がらない時もありますね。それを怖がっていたらこのようなオープンの会には参加できません。

さて、コーヒーの所にいたCさんはBathから来ておられてこの学期から先生のアシスタントをすると言っておられました。やはりBathはいい街のようで是非とも見るべきだと、できれば温泉にも入るべきだと言っておられました。電車は乗り換えがあるので圧倒的に車の方が近くていいようです。Bathはストーンヘンジの少し西にありますので、日の暮れがあまり早くならない内に(一番短い時には午後4時半には暗くなるそうです)行ってみようという気になりました。

このオックスフォード大の教育学部は多くのコースをかかえているだけになかなか顔見知りの人をつくるのは難しい感じがします(昨日は学部の図書館にいたら16才というと高校生でしょうか、この教育学部ではどのような勉強をするのか、熱心に質問をしてきた女子学生がいました)。フレンドリーですがカナダに比べると誰とでも、というオープンな感じは少し後退するようにも思いました。少し保守的なのでしょうか。しかし、これもまたいい経験です。

イギリスでは先週が労働党大会、現在が保守党の大会が開かれているのですが、焦点はもちろんBrexit(EUからの脱退)問題です。EUから脱退することによって人と物資の交流は確実に後退すると思います。メイ首相は二回目の住民投票はしない、と強く主張しています。オックスフォードではEU離脱反対の声しか聞きません。私がイギリスを離れる来年3月末がその期限になっています。これからの動きにも注視したいと思います。

ここまで半年、考えてきたこと、研究してきたことをポスターにまとめてみました。来週月曜日学部の大ポスター発表会があります。もし機会があるようなら一緒に発表させて頂こうと思っています。何事にも前向きに、自分の力の及ぶ範囲で力を尽くしたいと思っています。

(2018.10.4)

★今回の教訓:時間をコントロールすることがまず重要。その中でなるべくコマ目に時間を区切ること。
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オックスフォード通信(186)博士論文

オックスフォードで博士論文を提出されたAさんをお祝いする会におじゃまさせて頂きました

知り合いの方はいないはずなので正直どうしようかと思ったのですが(一応迷います)、ひと言お祝いが言いたくて参加させて頂きました。行ってみるとM先生がスーパーバイズしておられる他の院生の方達が集まっておられまた。初対面の人ばかりでしたが、パブでリラックスしたムードのいい感じのお祝いの会でした。V先生のお人柄がにじみ出ているのでしょう、みなさんフレンドリーで楽しいムードでした。

やはり博士論文の執筆はどの国でも大変のようです。私が修了に6年半かかったというとV先生もかなりの時間がかかったとおっしゃっておられました。Aさんは博士論文の完成と同時に母国のドイツで大学教員のポストを射止められたようです。ダブルの祝杯です。

夏にお会いした韓国人のJさんもアメリカの大学院を修了されると同時に、アジアの有名大学でのポジションがオファーされています。博士論文の執筆が大変なだけにこのように修了と同時に大学教員のポジションを得ることができるのは当然のようにも思いますが、日本ではなかなかそのようになっていないのが現実です。

アカデミックな環境で、論文や研究に集中できるのは厳しいですが、その知的な喜びは何物にも代えがたいのだと思います。人の幸せな姿をみるのはイギリスでも日本でもいいものです。

(2018.9.29)

★今回の教訓:論文を書くのは大変だが得られる喜びもひとしお。オックスフォードでは修士論文を Dissertation、博士論文を Thesis と呼んでいる(北米と逆)。PhDではなくてDphil。ここにも英米の相違が。
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オックスフォード通信(154)Sunny side up? Over easy?

English Breakfastの定番には必ず目玉焼きが入っています

日本では目玉焼きを英語でSunny side up(黄身、Yolkが上の状態の料理ということなんでしょう)と言いますが、以前から何か変な感じがありましたが、「そうなっている」と言われれば言葉なので「そうですか」と言わざるをいませんでした。なぜ違和感かというとその言葉のどこににも卵という言葉が入っていないからです。

両面焼きのover easyに関してはもっと違和感を感じるもので、確かに反対側も焼いてください、という感じなのでしょうか。

今回の在英研究の裏メニューは英語自体について考えることですので、この点についてオックスフォード大学のEさんと話をしてみました。すると驚愕の事実が・・・

驚愕でもないのですが、sunny side upと聞いても目玉焼きと分かるけれど、イギリスでは通常、fried eggというとの事。両面焼きでもfried egg(あまりイギリスで両面焼きをみた事がありません)。

なるほど。両者を比べてみるとイギリスの方が分かりやすいですね。私たちの(私の)潜在意識の中にアメリカやカナダの英語が正しいというものがあるのかもしれませんが、通常日本で手に入る本などはほぼアメリカ英語をもとに書いてあるのでイギリス英語に触れる機会がありません。

もちろん、逆にイギリス英語が本家なので、そちらが正しいということもないと思います。丁度、京都の銘菓、八ツ橋の本家と元祖はどちらが本当なのかのような留めない議論になるのでそれは意味がないと思うのですが、少なくとも全てのアメリカ英語を採用しなくてもいいと思います。

おそらく「どちらが文化的に・コンテクストニュートラル」で「分かりやすいか」という視点で考えるべきだと思います。あくまでも英語を使うのは「グローバルリンガフランカ」=「国際語」としてであるということを覚えておきたいと思います。

A: Can I have fried eggs?

Waiter: How would you like madam?

A: Could you make it over easy?

という英・米・加、ミックスが一番妥当なのかもしれません。

(2018.8.28)

★今回の教訓:イギリス英語を部分的に採用することで英語の使用が楽になるかもしれない。
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